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新型コロナ治療薬ベクルリー 添付文書改訂 投与対象は「SARS-CoV-2による肺炎を有する患者」に

公開日時 2021/01/08 04:49
厚生労働省医薬・生活衛生局は1月7日、新型コロナウイルス治療薬ベクルリー点滴静注液100mg、同点滴静注用100mg(一般名:レムデシビル)の添付文書を改訂するよう、日本製薬団体連合会に医薬安全対策課長通知で指示した。投与対象はこれまで、体外式膜型人工肺(ECMO)装着患者などの重症患者としていたが、今回、「臨床試験等における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による肺炎を有する患者を対象に投与を行うこと」に変更になった。製造販売元のギリアド・サイエンシズは本誌取材に、添付文書上、同剤は重症患者以外にも使用できるとの解釈になると説明した。

一方で、厚労省はこの日、ベクルリーの投与対象患者に関する考え方をホームページ上で公開した。それによると、同剤の日本への供給量を直ちに急増させることは難しい状況のため、当面の間、同剤の配送対象や投与対象者は現状維持とするとの方針を示した。これにより当面は、実質的には投与対象患者はこれまでと変わらないことになる。同省は、「配送対象を拡大できるよう、ギリアド社等と連携しつつ対応していく」としている。

添付文書の「効能又は効果に関連する注意」の投与対象にかかる部分について、これまでは「臨床試験等における主な投与経験を踏まえ、現時点では原則として、酸素飽和度94%(室内気)以下、又は酸素吸入を要する、又は体外式膜型人工肺(ECMO)導入、又は侵襲的人工呼吸器管理を要する重症患者」と記載していた。この部分を今回、変更する。

■投与期間 ECMO装着有無にかかわらず「目安として、5日目まで投与」に変更

また、「用法及び用量に関連する注意」の項の同剤の投与期間にかかる注意喚起について、「目安として、5日目まで投与し、症状の改善が認められない場合には10日目まで投与する」に変更することになった。これまではECMOなどが導入されている患者の総投与期間は10日間まで、導入されていない患者は5日目までとし、症状の改善が認められない場合は10日目まで投与可となっていた。

同剤は20年5月に特例承認された。承認条件に基づきギリアドから、新型コロナ患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1試験、GS-US-540-5773試験、GS-US-540-5774試験)の最終報告書が提出され、これらの試験成績から専門委員の意見も踏まえ、添付文書を改訂することが適切と判断された。

添付文書の改訂指示は次の通り。

ベクルリー点滴静注液、同点滴静注用(一般名:レムデシビル、製造販売元:ギリアド・サイエンシズ)
薬効分類:625 抗ウイルス剤

指示概要:
1)冒頭の枠囲み内の記載について、「承認時において有効性、安全性、品質に係る情報は極めて限られていたため」と記載整備する。

2)「警告」の項にある急性腎障害及び肝機能障害に関する記載を削除する。

3)「効能又は効果に関連する注意」の項について、「本剤の有効性及び安全性の情報が極めて限られていることから、最新の情報に留意して慎重に投与の可否を判断する」との旨の記載を削除する。また、投与対象について、「臨床試験等における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による肺炎を有する患者」に変更する。

4)「用法及び用量に関連する注意」の項について、本剤の投与期間の目安を「5日目まで投与し、症状の改善が認められない場合には10 日目まで投与する」に変更する。

5)「重要な基本的注意」の項について、一般的な臨床検査値を毎日確認すること等の記載を削除し、腎機能検査及び肝機能検査の検査頻度を「毎日」から「定期的」に変更する。 

6)「特定の背景を有する患者に関する注意」の項について、ALTが基準範囲上限の5倍未満の患者に対する注意喚起を削除する。

7)「副作用」の項について、本剤の安全性に係る情報は極めて限られている旨の記載を削除する。また、臨床試験成績に基づき「その他の副作用」を追記する。

8)「その他の注意」の項について、臨床使用に基づく情報として、プロトロンビン時間延長又は国際標準化比(INR)増加に関する内容を追記する。

9)「臨床成績」の項について、SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1試験及びGS-US-540-5773試験)を速報値から最終成績に変更する。また、GS-US-540-5774試験の結果を追記する。さらに、SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした人道的見地から行われた本剤の投与経験及びエボラウイルス感染症患者対象の臨床試験の記載を削除する。

改訂理由:SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1試験、GS-US-540-5773試験及びGS-US-540-5774試験)の最終報告書が提出され、これらの試験成績から、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。
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