ファイザー 新型コロナワクチン候補で主要な有効性評価項目を達成 米FDAに数日以内に申請へ
公開日時 2020/11/20 04:50
ファイザーと独・BioNTechは11月18日、新型コロナワクチン候補の「BNT162b2」の国際共同第3相臨床試験で主要な有効性評価項目を達成したと発表した。有効性の主解析で、ワクチンを1回接種した時点から28日経過した時点で、95%の予防効果を確認した。求められる安全性データも収集したとして、両社は、数日以内に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請するとしている。
◎65歳以上では94%の予防効果 年齢差や性差の影響みられず一貫した結果に
試験には、4万3000人以上が登録された。主要な有効性評価項目の解析では、新型コロナと確定診断された170例を検討。プラセボ群162例、ワクチン群8例で感染が認められた。28日間で95%の有意な発症予防効果を認めた(p<0.0001)。65歳以上の人に絞ってみても、94%の有効性が確認された。この結果は、年齢や性別、人種・民族などによらず、一貫した結果だったとしている。重症例は10例報告され、プラセボ群が9例、ワクチン群が1例だった。
安全性については、第2/3相臨床試験で無作為割り付けされた18歳以上の被験者8000人を対象に最終解析を実施した。ワクチンの認容性は良好で、ほとんどの有害事象はワクチン接種後に速やかに回復したという。グレード3の有害事象で頻度が2%を超えるものは、疲労3.8%と頭痛2.0%で、重大な安全性の懸念は認められなかった。
◎ファイザー・ブーラCEO「安全で有効なワクチンを早急に世界中に届ける」
ファイザーのアルバート・ブーラ会長兼CEOは、データを世界中の規制当局と共有するとしたうえで、「世界中では毎日何十万人もの人々が感染しているため、安全で有効なワクチンを私たちが早急に世界中に届ける必要がある」とコメントした。BioNTechのUgur Sahin共同創設者・CEOの氏は、「世界各国のパートナーや政府と引き続き協力し、2020年から世界に供給するための準備を進める」としている。
BNT162b2の国際共同第3相試験は7月27日に開始し、4万3661人の被験者が登録されている。このうち4万1135例が11月13日時点で2回目の接種を受けている。今後2年間追跡し、有効性・安全性データを収集するとしている。
◎マイナス75度での保管 特別設計した輸送用保冷箱を開発
両社は2020年に最大5000万回分、21年末までに最大13億回分のワクチンを世界で生産することを見込む。マイナス70度の保管条件であることも注目を集めるが、両社は、ドライアイスを使用して「-70°C±10°C」に管理できるよう、特別設計した輸送用の保冷箱を開発した。ドライアイスを再充填することで、15日間の一時的な保管庫として使用することができるという。保冷箱の中には輸送中のワクチンの追跡と温度管理のためのGPS付の温度センサーが入っており、事前に計画された経路で輸送するとしている。なお、国内では温度管理は、「‐75°C±15°C」で計画しており、海外から国内倉庫の輸送まで、GPS付の温度センサーを活用するという。