英AZ 新型コロナウイルスワクチン候補「AZD1222」の臨床試験を全世界で一時中断
公開日時 2020/09/10 04:52
英アストラゼネカは9月9日(現地時間)、新型コロナウイルスワクチン候補「AZD1222」の臨床試験について、自主的に一時中断すると発表した。日本を含む全世界で、AZD1222の接種を中止する。英国で進行中のフェーズ3で1例に深刻な有害事象が起きたため。独立安全性委員会が因果関係などについて詳細に検討を進め、今後の対策を検討するとしている。なお、こうした治験の一時中断は珍しくなく、被験者の安全性を担保するための方策と言える。
◎英国の1例に深刻な有害事象 因果関係など詳細に検討
同社は、大規模臨床試験では、偶然に有害事象が起きることから、安全性は独立して評価する必要性を指摘。試験の一時中断は、「説明できない疾患が生じた際に、通常講じる必要な措置」としている。レビューを迅速に行うことで、試験のスケジュールへの影響を最小限に食い止めるように取り組むという。AZD1222は、ウイルスベクターワクチンと呼ばれる新規機序であることから、早期の安全性の検証を早期に行うことは、製薬企業として必要な判断とも言える。
◎Pascal Soriot CEO「一時中断は我々がこの原則に従っていることを証明している」
同社のPascal Soriot CEOは、「我々は、科学、安全、社会の利益が仕事の中心に置いている。この一時中断は我々がこの原則に従っていることを証明している」とコメント。試験の再開時期については、独立委員会の判断にゆだねるとしている。これにより、ワクチンを「最も早い機会に広く、公正に届ける」ことを可能にするとしている。
AZD1222は、オックスフォード大学とそのスピンアウト企業Vaccitechが共同で見出した。複製できないように処理をした弱毒化されたチンパンジー由来の風邪のアデノウイルスに、SARS-CoV-2ウイルススパイクタンパク質の遺伝物質を含んだもの。国内でも、250例を対象とした第1/2相臨床試験が進行中。