日赤医療センター・鈴木氏 サークリサは多発性骨髄腫の新たな選択肢
公開日時 2020/09/10 04:50
サノフィは9月9日、メディアセミナー「再発・難治性多発性骨髄腫のアンメットニーズ(低い治療満足度のニーズ)と新たな治療選択肢サークリサによる今後の治療展望」を開催した。日本赤十字社医療センター 骨髄腫アミロイドーシスセンターセンター長・輸血部長の鈴木憲史氏は、多発性骨髄腫治療薬サークリサ(一般名イサツキシマブ(遺伝子組換え))について、「プロテアソーム阻害剤と免疫調節薬レナリドミド治療後の選択肢の1つとして、多くの患者に希望を届けることが期待される」と強調した。
サークリサは、「再発または難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果として6月に薬事承認を受けている。鈴木氏は「多発性骨髄腫は、再発を繰り返す治癒の難しい疾患といわれてきたが、セカンドジェネレーションの抗CD38抗体サークリサとPD療法(多発性骨髄腫治療薬ポマリドミド+ステロイド薬デキサメタゾン)の併用という新たな治療選択肢が1つ増えたことは、患者の治療への不安の軽減にもつながる」と紹介した。
◎7つの作用機序により抗腫瘍効果を発揮
サークリサは、他の抗CD38抗体とは異なるエピトープ(抗体が認識する抗原の一部分)に結合し、7つの作用機序によって抗腫瘍効果を発揮するセカンドジェネレーションの抗CD38モノクローナル抗体と位置付けられている。
国際共同第3相試験のICARIA試験では、治療奏効までの期間は1.2か月であり、短期間で治療効果を期待できる。鈴木氏は「抗CD38抗体の中では最短の投与時間であり、患者や医療者の負担を減らすことができる。これからは多発性骨髄腫の治癒を目指した診療に挑戦していく時代になったのではないか」と指摘した。