MR認定センター 「MR認定要綱」で企業、センター、個人の責務を明確化 MR認定制度の“憲法”に
公開日時 2020/09/02 04:52
MR認定センターは9月中に「MR認定要綱策定委員会」を開き、MR認定要綱の取りまとめを行う。MR認定制度全体の基準として策定するもので、「企業の責務、センターの責務、個人の責務」を明記する。9月1日に本誌取材に応じた近澤洋平事務局長は、「MR認定要綱は、単なる企業の教育だけでなく、認定試験、認定証の交付など、すべての基準を網羅したものを作る」と述べ、これが2021年4月に実施する新たなMR認定制度の「憲法に相当する」と語った。委員会には日本医師会の宮川政昭常任理事、日本薬剤師会の磯部総一郎専務理事など、MR認定制度に精通したメンバーが名を連ねる。9月中に会合を開き、10月中の答申を目指す。
◎近澤事務局長 それぞれの責務明確化で「MR認定証の価値向上」
これまで運用してきた「MR教育研修要綱」は、企業がMRに対する教育研修に関し、必ず実施すべき基準を定めたもので、MR認定センターが何をすべきかについては何も書かれていなかった。一方でMR認定センターは、認定制度創設当時に製薬協から教育研修要綱を引き継いだものの、「企業に対してMR教育研修要綱を遵守させ、認定証の発行や更新といった事務手続きに終始してきた。これでは認定センターとしてMRの資質向上という事業としてはまったく噛み合っていない」(近澤事務局長)という反省もあったとした。
今回のMR認定センターの事業構造改革とMR認定制度の抜本改革では、企業、MR認定センター、MR個人のそれぞれの責務を明確化し、「MR認定証の価値向上」を実現する狙いを込めている。よってMR認定要綱は、これを実現するための共通した「憲法」という位置づけで、現行の教育研修要綱を見直し、MR認定要綱を新たに策定することになった。
◎田中専務理事 「MR教育の全てを包含することが大事」
同日本誌取材に応じた田中徳雄専務理事は、当初、MR認定センターの名称の変更が議論の俎上にあがったことを明かした。しかし、「いまのままの名前(MR認定センター)がある以上、まずはMR認定要綱が無いとおかしいという話になった」と指摘。「名前通りの仕事をするには“憲法”が必要で、その憲法を変えるべきだということに辿り着いた。何回か議論を重ねた。もちろんMR認定要綱の中には、各社が教育研修をやった人を我々センターが認定するということなので、MR教育の全て包含することが大事ということになった」と語った。
◎企業の困っているテーマを取り上げた講習会で情報共有も
今回のMR認定制度抜本改革の中で、特に目を引くのが実務教育科目の「倫理教育」と「安全管理教育」だ。倫理教育は、医療関係者から信頼されるために必須のものであり、安全管理教育は、企業を代表する者の責務を示し、MRの本来業務でもある。近澤事務局長は、「倫理教育と安全管理教育はその中身を認定センターが把握して、どんなところで困っているのか、どのような目標をたて、どのような成果確認をしようとしているのか、結果はどうなったのかなどを集約したい」と強調。そのうえで「多くの企業が困っているテーマを取り上げて解決のヒントになるような講習会を次年度以降は実施したいと思う」と述べた。MR認定要綱の主旨をイメージさせた取り組みだ。近澤事務局長は、「ここは皆で支えて行こうということ。認定センターも話を聞いて業界全体の質の向上に役立てたいという文言をMR認定要綱の中に散りばめて欲しい」と期待感を込めた。
【MR認定要綱策定委員会】
評議員・猿田享男(慶応義塾大学名誉教授)
評議員・宮川政昭(日本医師会常任理事)
評議員・宇佐美伸治(日本歯科医師会常務理事)
評議員・磯部総一郎(日本薬剤師会専務理事)
評議員・林 昌洋(日本病院薬剤師会副会長)
弁護士・小林郁夫(佐藤・鷹見法律事務所)
試験委員・渡邊伸一(帝京平成大学薬学部教授)
教育研修委員・坂上 環(読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)
業界団体・國枝 卓(関西医薬品協会理事長)
業界団体・伏見 環(日本ジェネリック製薬協会理事長)
業界団体・猪股以夫里(日本医薬品直販メーカー協議会専務理事)
専務理事・田中徳雄(日本製薬工業協会常務理事)