ファイザー 7月以降のＭＲ活動 アポイント取得を徹底し「リモート優先」で ＭＲの在宅勤務は解除
公開日時 2020/06/23 04:53
ファイザーは6月22日、COVID-19に対する「ニューノーマル・ロードマップ」を発表した。ＭＲなど外勤者については、7月1日から在宅勤務を解除し、医療者との面会は「リモートを優先」する。GVP等の製品情報伝達や医療機関からの要請のあった場合は訪問を可能とする。これにより同社のＭＲ活動は医療者からのアポイント取得を活動の基本とする方向に改める。コロナ以前からＭＲの働き方改革を実践してきた同社だが、今回リモート面談を優先させる決定をしたことで、漫然とした病院訪問や医局に戻る医師を廊下で立ち待ちする活動を是正し、その一方で、「ＭＲは精度の高い面談」に注力できると期待している。
ＭＲについては、6月中（回復期Step１）は在宅勤務を原則とし、リモートによる情報提供を行っている。また、医療機関から要請がある場合に限り、例外的に訪問を認めたほか、医療機関への訪問時の検温、マスク常時着用、手指消毒の徹底、滞在時間は最短などの遵守を求めている。医薬品卸など特約店での面談もリモートとし、それが不可の場合に限って、特約店側のルールに基づき訪問を許可している。
7月1日（回復期Step２）からは、在宅勤務を解除するものの、医師や薬剤師との面会はリモートを優先するとした。同社はリモート面談にCisco Webexを使用しており、ＭＲは事前のアポイントを得たうえで、リモート面談を行うことになる。一方で、病院や診療所の訪問も医療機関の要請やアポイントの取得を前提条件としているため、これまでのような病院を訪問し、医局に戻る医師を廊下で立ち待ちするような、いわゆる「Push型」の訪問活動が減るとみている。同社は新型コロナに伴う感染リスクを回避する観点から、ＭＲに対しては院内の滞在時間を極力減らすよう指導しているところ。
◎事前アポイントはメールや電話 手紙も有効 担当交代の引継ぎもリモートで
リモート面談を優先させる方針を同社が打ち出したことで、ＭＲはメールや電話などを使って、医師や薬剤師からアポイントを取得する。一昔前の手法だが、手紙も有効という。ただ、これまで批判されていた漫然と病院の医局や廊下で医師の帰りを待つような活動が減ることから、「1回あたりの面談の精度が高くなる」との期待感もある。またＭＲの定期異動に伴う前任者との引継ぎについては、前任者と担当者がリモートで医師と面談することを想定している。リモートを活用することで地理的要件や移動時間・コストの克服にも役立ちそうだ。
◎コンプライアンス上の課題にも対応
さらに販売情報提供活動ガイドラインなどコンプライアンス上の課題にも対応している。リモート面談の冒頭で、医師への情報提供に先立ち、ドクターへのお願い事項というスライドを紹介し、本社のモニタリンググループのメンバーや上司が同席させて頂くことがあることに理解を求めている。さらに未承認・適応外薬の話題に医師が自発的に触れた場合についても、ＭＲから答えられない場合、本社のメディカルから回答頂くなどの対応についても講じているという。すでにリモート面談に関するトレーニングは支店・営業所単位で実施されており、今後はベストプラクティスを共有するなど、ニューノーマル時代のＭＲ像構築を目指す考えだ。
◎本社・事業所の内勤者 7月6日以降も在宅勤務 出社は最大20％まで
一方、同日公開した「ニューノーマル・ロードマップ」で本社・事業所の内勤社員については、7月6日以降も原則在宅勤務を継続する。ただ業務の必要性が高い場合に限り、最大20％までの出社を各部門で許可する。このほかソーシャルディスタンスを保つため、使用できる座席を限定するほか、社内外の会議は原則リモートとし、２ｍ以内かつ15分以上の接触があった場合は記録を作成するとした。
同社は新型コロナウイルス感染症対策として、対応期（5月31日まで）、回復期（現在）、安定期（開始日未定）の３つのステージに分けて社員の対応を示している。今回、新たに示した回復期は主に6月中のStep１と、7月以降のStep２について外勤社員・内勤社員それぞれについて明記した。