PwC 新型コロナ下の医師インサイト VR活用やMR/MSL呼び出しアプリなど「プル型」に期待
公開日時 2020/06/23 04:51
PwCコンサルティング合同会社は6月22日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による医師の医薬品情報収集方法の変化と課題」に関する調査結果を発表した。それによると、医師が利用したい情報提供の方法は、「製品パンフレット・症例情報など従来紙媒体で提供されていた情報のデジタル化」が回答の66%、「診断や治療などで口頭では伝わりにくい情報提供時のVR活用」が55%、「相談したいときにリモートで呼び出せるMR/MSLアプリ」が48%となった。調査はWebによるアンケート形式で、全国の医師424人から回答を得た。調査期間は20年4月23日~5月1日。
調査は、「医師の利用チャネルの変化」、「医師の求める情報コンテンツ」、「今後医師が求める施策」の観点から、COVID-19流行による製薬企業の情報提供の変化が、医師の医薬品情報の入手にどう影響したかについて調べた。
新型コロナの流行期間中に医薬品情報の入手で最も多く利用したチャネルを聞いたところ、「MR/MSLの直接面会」がコロナ流行前の73%から流行中は8%と激減。「Webサイト」はコロナ流行前の10%から流行中は27%に上昇、「Webセミナー」は8%から26%と大幅に拡大した。一方で「MR/MSLのリモート面会」と回答した割合は7%に止まった。
◎医師は、プル型の情報提供に対するニーズが高い
コロナ流行中に入手できず困っている情報を聞いたところ、トップは「有効性」で37%、次いで第2位は「安全性」で28%、第3位は「関連疾患/治療全般」が24%だった。
今後、医師が製薬企業に求める施策としては、パンフレット情報などのデジタル化や口頭では伝わりにくい情報提供時のVR活用、さらに相談したいときにリモートでMRやMSLを呼び出せるアプリなどが上位にランクされた。この結果についてPwCは、「紙媒体のデジタル化による情報の一元管理や、VRやAIなどのテクノロジーを活用した施策に利用意向を示す医師の割合が高く、呼び出しアプリやWebセミナー、講演会のオンデマンド配信など、プル型の情報提供に対するニーズが高いことが分かった」と分析している。
◎ニューノーマル時代の「プル型コマーシャルモデル」構築を
PwCはさらに「ニューノーマルにおいて製薬企業が求められるコマーシャルモデル」についての見解として、「単にリアルからオンラインへの切り替えが望まれているわけではない」と指摘。独立しがちであったリアルチャネルとオンラインチャネルのポジションを見直し、相互補完し合う「オンライン・オフラインミックスのチャネル構築」が求められているとの見解を示した。
また、これまではMR/MSLやWebサイトが各情報への入り口の機能を担う「プッシュ型コマーシャルモデル」が主流だったとしながらも、今後は、医師のニーズを満たす最適なチャネルへのアクセスを誘導する「プル型コマーシャルモデル」の構築が必要となると推測した。