薬食審 1月29日に第二部会 5製品審議 新規の腎細胞がん治療薬カボザンチニブなど
公開日時 2020/01/16 04:50
厚生労働省は1月29日に、新薬の承認の可否などを審議する薬食審・医薬品第二部会を開催する。武田薬品が承認申請したAXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬で腎細胞がんに用いるカボメティクス錠(一般名:カボザンチニブリンゴ酸塩)など、5製品を審議する予定。このほかの4製品は効能追加となる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽レブラミドカプセル2.5mg、同カプセル5mg(レナリドミド水和物、セルジーン):「濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」を追加する新効能・新用量医薬品。
リツキシマブと併用して用いる。同剤は多発性骨髄腫、5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫の効能・効果を持つ経口薬。
▽カボメティクス錠20mg、同錠60mg(カボザンチニブリンゴ酸塩、武田薬品):「腎細胞がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
AXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬。今回の申請は、海外フェーズ3(P3)試験のMETEOR試験、海外P2試験のCABOSUN試験、VEGFR-TKIによる治療後に増悪した日本人進行腎細胞がん患者35人を対象に有効性と安全性を検討した国内P2試験のCabozantinib-2001試験の結果に基づく。
METEOR試験は、VEGFR-TKI治療後に増悪した転移のある患者658例を対象に、カボザンチニブ60mgとエベロリムス10mgを無作為化比較した(いずれも1日1回連日投与)。その結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値はカボザンチニブ群で7.4か月、エベロリムス群で3.8か月だった。
▽アレセンサカプセル150mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を追加する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
ALK阻害薬。未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は再発した場合、予後不良となるケースが多く、新たな治療選択肢が待たれていた。ALCLの国内における発症頻度は悪性リンパ腫の1.5~2.0%で、約半数がALK陽性と報告されている。
▽ロズリートレクカプセル100mg、同カプセル200mg(エヌトレクチニブ、中外製薬):「ROS1融合遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん」を追加する新効能・新用量医薬品。
ROS1(c-rosがん遺伝子1)とTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬。ROS1とTRKキナーゼ活性を阻害することで、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。
中外の次世代シークエンサーを用いた網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」は19年12月に、ロズリートレクの今回の適応症に対するコンパニオン診断機能を追加する承認を取得している。ROS1 融合遺伝子を検出することで、同剤の非小細胞肺がんにおける適応判定を補助する。
▽ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン、CSLベーリング):「無又は低ガンマグロブリン血症」を追加する新効能・新用量医薬品。
患者の状態に応じて投与速度の調整が可能な10%静注用人免疫グロブリン製剤。現在は、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善」と「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」を効能・効果としている。
無又は低ガンマグロブリン血症は、血清中の免疫グロブリンGが量的に不足あるいは質的に問題がある疾患。免疫グロブリンGが全く作られない場合を「無ガンマグロブリン血症」、少しだけ作られる場合を「低ガンマグロブリン血症」と呼ぶ。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽オレンシア点滴静注用250mg、同皮下注125mgシリンジ1mL、同皮下注125mgオートインジェクター1mL(アバタセプト(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「関節リウマチ」を対象疾患とする新効能医薬品。
T細胞選択的共刺激調節薬。現在の効能・効果は「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」。今回、関節リウマチの「関節の構造的損傷の防止」を追加する。
▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「結腸・直腸がん、食道がん」を追加とする新効能医薬品。食道がんは優先審査の対象品目。
ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。申請は、「MSI-Highを有する結腸・直腸がん」の適応取得を目指して行われていた。切除不能の結腸・直腸がん患者のうちMSI-Highを持つ割合は約5%だが、こうした患者は予後不良の傾向がみられるほか、標準治療のフッ化ピリミジン系抗がん剤を含む化学療法の有効性が乏しいことが報告されている。
食道がんについては、二次治療で明確に生存期間の延長を示す薬剤はなく、新規治療薬の開発が期待されている。