新薬10成分が薬価収載 5成分が即日発売 製造元が倒産法申請のゾキンヴィは5月発売へ、社内在庫で
公開日時 2024/04/18 04:51
新薬10成分15品目が4月17日に薬価収載された。即日発売したのは発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬・ボイデヤ錠(製造販売元:アレクシオンファーマ)、抗てんかん薬・フィコンパ点滴静注用(エーザイ)、眼科用VEGF阻害薬・アイリーア8mg硝子体内注射液(バイエル薬品)、ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬・エヴキーザ点滴静注液(ウルトラジェニクスジャパン)、全身型重症筋無力症治療薬・ヒフデュラ配合皮下注(アルジェニクスジャパン)――の5成分となる。
◎ゾキンヴィ 想定患者数が当面必要となる製剤は既に国内に入荷済み 「1年分は供給できる」
製造元が米国倒産法第11条の適用を申請した早老症治療薬・ゾキンヴィカプセル(アンジェス)は、5月中の発売に向け準備を進める。国内の独占販売権を持つアンジェスは本誌取材に、ゾキンヴィの使用患者数は「5人以内と想定している」とした上で、この想定患者数が当面必要となる製剤は既に国内に入荷済みで、「(5人以内であれば)少なくとも1年分は供給できる」とコメントした。
薬価収載された新薬10成分の発売日(予定、未定含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。
【4月17日発売】
▽ボイデヤ錠50mg(ダニコパン、アレクシオンファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:発作性夜間ヘモグロビン尿症
薬価:50mg1錠 2,259.20円
補体D因子阻害薬。補体第二経路の律速段階である補体B因子の開裂を触媒する補体D因子のセリンプロテアーゼ活性を阻害し、補体第二経路の活性化及びC3フラグメントの沈着を抑制する。用法・用量は、「通常、成人には、補体(C5)阻害剤との併用において、ダニコパンとして1回150mgを1日3回食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、1回200mgまで増量することができる」。
現在、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対する治療薬として、C5に対するヒト化モノクローナル抗体(C5阻害薬)であるエクリズマブ及びラブリズマブが使用されているが、C5阻害薬が投与された一部の患者ではC3を介した血管外溶血が認められており、PNHの治療上の課題となっている。PNHに対する治療薬として、C3阻害薬・ペグセタコプランが23年3月に承認されている。
▽フィコンパ点滴静注用2mg(ペランパネル水和物、エーザイ)
薬効分類:113 抗てんかん剤(注射薬)
効能・効果:一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するペランパネル経口製剤の代替療法。・てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、・他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法
薬価:2mg1瓶 1,962円(1日薬価:3,630円)
AMPA型グルタミン酸受容体拮抗薬。点滴静注製剤の効能・効果は、既承認の経口製剤と同様で、一時的に経口投与ができない患者におけるペランパネル経口製剤の代替療法の位置付けとなる。用法・用量は、①ペランパネルの経口投与から切り替える場合②ペランパネルの経口投与に先立ち投与する場合―に分けて設定されており、いずれも1日1回点滴静脈内投与する。
てんかん患者が手術時など一時的に経口で薬剤を服用できない場合に、投与中断による発作リスクが懸念されるため、経口投与以外の治療を継続することが望ましいとされている。
▽アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL(アフリベルセプト(遺伝子組換え)、バイエル薬品)
薬効分類:131 眼科用剤(注射薬)
効能・効果:中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫
薬価:8mg0.07mL1瓶 181,763円(1日薬価:1,805円)
眼科用VEGF阻害薬で、既承認のアイリーア硝子体内注射液40mg/mL(以下、「既存製剤」)の高濃度製剤。高濃度製剤は既存製剤に比べ、投与間隔の延長と年間の投与回数の減少につながり、患者負担の軽減が期待される。
高濃度製剤の用法・用量は、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」(nAMD)、「糖尿病黄斑浮腫」(DME)とも同じ。具体的には、導入期は8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回硝子体内投与する(症状により投与回数を適宜減じる)。その後の維持期は通常、16週ごとに1回硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節できるが、8週以上あける必要がある。
▽エヴキーザ点滴静注液345mg(エビナクマブ(遺伝子組換え)、ウルトラジェニクスジャパン)
薬効分類:218 高脂血症用剤(注射薬)
効能・効果:ホモ接合体家族性高コレステロール血症
薬価:345mg2.3mL1瓶 1,409,928円(1日薬価:50,355円)
抗ANGPTL3モノクローナル抗体。アンジオポエチン様タンパク(ANGPTL3)に結合し、ANGPTL3によるリポタンパクリパーゼ(LPL)及び血管内皮由来リパーゼ(EL)阻害活性を抑制し、LDL受容体非依存的にLDL-C低下作用を示すと考えられている。LDL受容体が活性をほとんど示さないホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)患者に対して有効な新規作用機序の薬剤として期待されている。
用法・用量は、「通常、エビナクマブ(遺伝子組換え)として15mg/kgを4週に1回、60分以上かけて点滴静注する」。
▽ヒフデュラ配合皮下注(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、アルジェニクスジャパン)
薬効分類:639 その他の生物学的製剤(注射薬)
効能・効果:全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
薬価:5.6mL1瓶 604,569円(1日薬価:86,367円)
エフガルチギモド アルファ(国内製品名:ウィフガート)は胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とするアミノ酸残基を改変したヒトIgG1抗体Fcフラグメントで、FcRnを介したIgG抗体のリサイクル経路を阻害し、病原性IgG自己抗体を含むIgG濃度を低下させることにより、全身型重症筋無力症(gMG)に対する治療効果を示すと考えられている。既承認のウィフガートは点滴静注製剤。
新有効成分のボルヒアルロニダーゼ アルファは結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解する酵素で、皮下組織における薬液の浸透性を増加させる。これにより両成分を含有するヒフデュラは皮下投与で用いることができ、医療従事者や患者の利便性の向上が期待される。
ヒフデュラの用法・用量は、通常、成人には本剤1回5.6mLを1週間間隔で4回皮下投与し、これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、ウィフガートは1回10mg/kgを1週間間隔で4回1時間かけて点滴静注し、これを1サイクルとして投与を繰り返す。
【5月中に発売予定】
▽ゾキンヴィカプセル50mg、同カプセル75mg(ロナファルニブ、アンジェス)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー
薬価:50mg1カプセル 91,796.40円
75mg1カプセル 136,544.00円
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロジェロイド・ラミノパチー(PL)は、それぞれが大変希少な致死性の遺伝的早老症。いずれの病型とも深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症などの早老症状が現れ、動脈硬化性疾患により若年期に死亡するとされ、HGPSの平均年齢は14.5歳と報告されている。
本剤はHGPSやプロセシング不全性のPLの小児及び若年成人において、核膜の構造・機能を損なうファルネシル化された変異タンパク質(核の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害する。14日間の処方日数制限の対象外。
製造販売元のアンジェスは4月12日に、導入元の米アイガー社が米国倒産法第11条の適用を申請したことや、本剤はSentynl Therapeutics, Inc.に売却することが検討されていることを発表した。アンジェスはアイガーとの本剤の国内独占販売契約に基づき、アイガーから本剤を購入し、国内販売する予定となっていた。そしてアンジェスは17日、「使用が予想される患者数から、当面必要とされる本製品数は既に国内に入荷している」として、「5月中の販売開始に向け準備を進める」と発表した。
【発売日未定/非開示】
▽①ターゼナカプセル0.1mg、②同カプセル0.25mg、③同カプセル1mg(タラゾパリブトシル酸塩、ファイザー)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:
①②BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん
②③がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん
薬価:
0.1mg1カプセル 3,920.70円
0.25mg1カプセル 9,576.00円(1日薬価:19,152.00円)
1mg1カプセル 21,547.10円
DNA修復で重要な役割を果たしているPARP1とPARP2の阻害薬。PARPとDNAの複合体の解離を阻害することにより、DNA複製の過程で二本鎖切断を生じさせる。BRCA遺伝子の変異等の相同組換え修復関連遺伝子の変異等により、相同組換え修復機能を欠損した腫瘍細胞では、本薬の投与により生じた二本鎖切断が修復されずに蓄積し、細胞死が誘導されることで腫瘍の増殖が抑制されると考えられている。
用法・用量は、去勢抵抗性前立腺がんに対しては、「エンザルタミドとの併用において、通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回0.5mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。乳がんに対しては「通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回1mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
▽ラパリムス顆粒0.2%(シロリムス、ノーベルファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:下記の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形:リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症、血管内皮腫、房状血管腫、静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群、混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
薬価:0.2%1g 3,010.20円(1日薬価:3,010.20円)
mTOR阻害薬。PI3K/AKT/mTOR経路を抑制することにより、脈管腫瘍及び脈管奇形に有効性を示すと考えられている。脈管腫瘍及び脈管奇形の病因は明確ではないが、PI3K/AKT/mTOR経路の異常活性により、血管内皮細胞、リンパ管内皮細胞等の異常増殖を起こすことが原因の一つと考えられている。
▽レブロジル皮下注用25mg、同皮下注用75mg(ルスパテルセプト(遺伝子組換え)、ブリストル マイヤーズ スクイブ)
薬効分類:339 その他の血液・体液用薬(注射薬)
効能・効果:骨髄異形成症候群に伴う貧血
薬価:25mg1瓶 184,552円
75mg1瓶 551,000円
トランスフォーミング増殖因子-β(TGF‒β)阻害薬。TGF-βスーパーファミリーと結合し、アクチビン受容体を介した下流のシグナル伝達経路を阻害することで、造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導すると考えられている。
用法・用量は、「通常、成人にはルスパテルセプト(遺伝子組換え)として1回1.0mg/kgを3週間間隔で皮下投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回1.75mg/kgを超えないこと」。
▽イブグリース皮下注250mgシリンジ、同皮下注250mgオートインジェクター(レブリキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)
薬効分類:449 その他のアレルギー用薬(注射薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
薬価:250mg2mL1キット 61,520円(1日薬価:4,394円)
250mg2mL1筒 61,520円
IL-13に対して高親和性に結合するIgG4 モノクローナル抗体。IL-13と結合し、IL-4Rα及びIL-13Rα1から構成されるIL-13受容体複合体を介したIL-13シグナル伝達を阻害する。サイトカインであるIL-13はアトピー性皮膚炎において重要で、皮膚の2型炎症を引き起こし、皮膚バリア障害、痒み、皮膚の肥厚化および感染を引き起こすとされている。
用法・用量は、「通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、レブリキズマブ(遺伝子組換え)として初回及び2週後に1回500mg、4週以降、1回250mgを2週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、4週以降、1回250mgを4週間隔で皮下投与することができる」。