田辺三菱 視神経脊髄炎関連疾患薬イネビリズマブを導入 日本などで独占開発・販売
公開日時 2019/10/10 03:50
田辺三菱製薬は10月9日、米ビエラ・バイオ社の視神経脊髄炎関連疾患治療薬イネビリズマブ(一般名)を導入するライセンス契約を締結したと発表した。田辺三菱は日本を含むアジア各国・地域での独占的な開発・販売権を取得した。ビエラは日本を含む国際共同フェーズ3試験を実施し、既に同試験は終了している。田辺三菱はこの試験データで国内申請して差し支えないか、PMDAと相談するとしている。
契約に基づき、田辺三菱はビエラに契約一時金として3000万ドル(約32億円)を支払う。このほかに開発の進捗に応じたマイルストーンや、製品上市後には販売額に応じたロイヤリティを支払うが、支払総額は開示していない。田辺三菱は今回、日本、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムでの独占的な開発・販売権を得た。なお、ビエラは米国で同剤を承認申請している。
イネビリズマブは、抗体を産生する形質芽細胞や形質細胞を含むB細胞の表面に発現するCD19というタンパク質に高い親和性をもつヒト化抗CD19モノクローナル抗体製剤。イネビリズマブがCD19に結合することで、これらの細胞を循環血液中から速やかに除去する。
視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)は、まれで致命的な中枢神経系の自己免疫疾患。身体の免疫システムが、視神経や脊髄などの健康な細胞を攻撃し、重篤な傷害をもたらす。NMOSDは重度の筋力低下、麻痺、失明、呼吸不全、腸や膀胱の機能低下、神経障害性疼痛を引き起こす。現在、NMOSDに対する承認された治療薬はない。
田辺三菱は、「重点領域のひとつである中枢神経系疾患領域において、アンメットメディカルニーズに応える新製品の開発に積極的に取り組む」としている。NMOSDは主に神経内科で治療される疾患で、同社は多発性硬化症治療薬イムセラなどで培った実績を活かす。
ビエラは米国メリーランド州に本社を置くバイオテクノロジー企業。炎症・自己免疫疾患を対象に新薬の研究開発をしている。