患者が求める製薬企業 トップは「コンプライアンスの遵守」 PhRMA調査
公開日時 2019/10/04 03:51
患者が製薬企業に最も期待することは、「関連法規などのコンプライアンス遵守」で、6割超を占めることがわかった。製薬企業の使命とも言える、「医療用医薬品の安定供給」や「新薬や研究開発の促進」などを僅差ながら、上回る結果となった。米国研究製薬工業協会(PhRMA)は10月3日、患者2000人を対象とした製薬企業への意識調査結果を発表した。降圧薬の臨床研究不正など、不適切な情報提供活動が相次ぎ、テレビの医療ドラマなどでも製薬企業のMRが悪役になることも少なくない。より一層、社会の目を意識した活動が、製薬企業に求められていると言えそうだ。
対象は、国内に居住する20歳以上の男女のうち、直近1年以上通院かつ月に2回以上通院している2065人。調査期間は2019年6月5~6日の2日間で、インターネットを通じて実施した。
その結果、製薬企業に期待することのトップは、「コンプライアンスの遵守(法令を守った行動をとること、または誠実な企業であること)」(64%)。「医療用医薬品の安定供給」(62%)、「新しい医療用薬品(病医院で処方される医薬品)やワクチンの研究開発の促進」(60%)が次いだ。一方で、「社会貢献」は36%、「雇用の拡大」は16%にとどまった。
◎政策決定プロセス参画意欲のある患者は2割に
医療用医薬品の情報については、「十分だと思う」が10%、「やや十分だと思う」が41%。「不十分だと思う」が13%、「やや不十分だと思う」が34%で、回答は分かれた。
このほか、患者中心の医療実現に向けて、政策決定に際して患者が参画する必要性も指摘されるなか、「参加してみたい」との回答は21%にとどまった。このほか、「やや参画してみたい」(37%)、「あまり参画してみたくない」(29%)、「参画してみたくない」(14%)だった。
なお、調査結果は、PhRMAが10月3日、「新薬に関する意識調査~6割の患者さんが 製薬企業 の 新薬 研究開発促進に期待」と題して公表。給付と負担の議論になるなかで、新薬への意識も調査した。「国が薬剤費を補助するような制度を設けるべき」が50%、「たとえ新しい医療用医薬品の価格が高額になったとしても、一日も早く必要な患者さんに使用できるようにするべき」が39%、「国民皆保険制度のため、高額な医薬品の導入には慎重になるべき」が23%で、意見は拮抗している。ただ、公表段階では、調査は全2065人中124人にが該当する患者団体の活動に積極的な患者結果を合わせて示し、「新薬の価格が高額であったとしても画期的な医薬品が必要とされている患者さんへ届くことを重視していることがわかった」などとPhRMAは結論付けている。