東和薬品 タイムセラ社とiPS創薬で共同研究開発契約 家族性ADの治療薬開発へ
公開日時 2019/08/27 03:50
東和薬品は8月26日、京都大学iPS細胞研究所の研究成果を実用化するために創設されたタイムセラ社との間で、iPS創薬によるドラッグ・リポジショニングに関する共同研究開発契約を同日付で締結したと発表した。同研究所の研究の結果、持続性ドパミン作動薬のブロモクリプチンに家族性アルツハイマー病(AD)の病因物質とされるアミロイドβを抑制する可能性が見出された。そこで、ブロモクリプチンの後発品を扱う東和は、ブロモクリプチンの新規適応に向けた共同研究開発を行うことにした。
同社は保険承認を目指した治験を実施。新規適応の承認を取得できれば、東和としては初となる。ただ、同社広報部は本誌取材に、今回の共同研究開発契約は新薬を手掛ける戦略というよりは、アンメットメディカルニーズの高い家族性ADに対する治療薬をドラッグ・リポジショニング(既存薬で新たな薬効を見出し、実用化すること)によって提供し、医療貢献ができる可能性があるため契約に至ったと説明した。なお、共同研究開発契約の経済条件や開発スケジュールは開示していない。
ADは多くの場合、高齢化で発症するが、なかには40~50代、もしくはより若い年齢で発症することがある。このような患者のなかには遺伝的にADの素因を持つ人がおり、遺伝性ADや家族性ADと呼ばれる。同研究所において患者iPS細胞を用いた家族性ADの治療薬の探索の結果、ブロモクリプチンが臨床開発候補物質として見出された。ブロモクリプチンを含む1258種類の既存薬を評価したという。