薬食審・第一部会 新薬3製品の承認了承 初の鼓膜穿孔治療薬登場へ
公開日時 2019/08/02 03:51
厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は8月1日、新薬として3製品の承認の可否を審議し、いずれも承認することを了承した。この中には鼓膜穿孔を対象とした国内初の治療薬リティンパ耳科用などがある。9月中にも正式承認となる見込み。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽リティンパ耳科用250μgセット(トラフェルミン(遺伝子組換え)、ノーベルファーマ):「鼓膜穿孔」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。
鼓膜穿孔を対象とした初の治療薬。溶剤を浸したゼラチンスポンジを耳に詰めることで、患部を修復する。主成分のトラフェルミンは表皮形成などを促す作用をもつヒト塩基性線維芽細胞増殖因子製剤で、歯周病に用いるリグロスや、皮膚褥瘡などに用いるフィブラストスプレーの主成分でもある。海外で承認されている国・地域はない。
▽ハルロピテープ8mg、同16mg、同24mg、同32mg、同40mg(ロピニロール塩酸塩、久光製薬):「パーキンソン病」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。
同社独自の経皮薬物送達システム技術を用いて開発した全身性の経皮吸収型製剤。安定した血中薬物濃度を維持し、効果を持続させることが期待される。同剤は非麦角系ドパミンアゴニストで、レキップ錠や同CR錠と同じ成分。海外で承認されている国・地域はない。
なお、久光は協和キリンと国内販売契約を締結している。パーキンソン病を効能・効果とする貼付剤は、大塚製薬のニュープロパッチに続き、2製品目となる。
▽フィアスプ注フレックスタッチ、同注ペンフィル、同注100単位/mL(インスリン アスパルト(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間は4年。
新規の超速効型インスリンアナログ。同注フレックスタッチと同注ペンフィルは持続型インスリン製剤と併用して用いる。
添加剤としてニコチン酸アミドを含むことで投与後初期の同薬の吸収が速くなり、インスリン作用の発現が同社のノボラピッドより速くなることで血糖降下作用がより速く発現すると考えられている。食直前や食事中に使用できる。海外では2019年6月現在、欧米を含む43か国で承認済。
■骨粗鬆症薬テリボン 半量で週2回投与の用法・用量追加 副作用軽減を期待
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽アフィニトール錠2.5mg、同5mg、同分散錠2mg、同分散錠3mg(エベロリムス、ノバルティスファーマ):「結節性硬化症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(同錠2.5mgと5mgは22年11月20日まで、分散錠は22年12月24日まで)。
現在の効能・効果は、結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫や上衣下巨細胞性星細胞腫に限定しているが、効能・効果の対象を結節性硬化症全体に拡大する。
▽献血ベニロン−I静注用500mg、同1000mg、同2500mg、同5000mg(乾燥スルホ化人免疫グロブリン注射用、KMバイオロジクス):「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
現在の効能・効果は、低又は無ガンマグロブリン血症や、ギラン・バレー症候群など。
▽テリボン 皮下注28.2μgオートインジェクター(テリパラチド酢酸塩、旭化成ファーマ):既存の効能・効果である「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」について、低用量で週2回投与を可能にする新用量医薬品、剤形追加に係る医薬品。28.2μgのオートインジェクター製剤を追加する。再審査期間なし。
同社が11年11月から販売しているテリボン皮下注用56.5μgと同じテリパラチド酢酸塩を含有する製剤。既承認の製剤は週1回の皮下注射で用いるが、今回追加する同剤は、1回投与量を現行製剤の半量とし、週2回の皮下注で用いる。半量となることから悪心、嘔吐などの副作用の発現が少なくなることが期待されるという。オートインジェクター製剤は11月頃に薬価収載される見込み。