厚労省・評価検討会 IBS治療薬・ポリフルをスイッチOTC化へ
公開日時 2019/07/26 03:51
厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は7月25日、過敏性腸症候群(IBS)治療薬のポリカルボフィルカルシウム(先発製品名:ポリフル、マイランEPD)のスイッチOTC化について、事前に医療機関を受診することを条件に、「可」とすることを決めた。一方、使用に際してはセルフチェックシートの活用が重要だとして、専門家の意見などをふまえて、質問項目や運用方法を検討するなど、充実させる必要があるとした。
同剤をめぐっては、2017年にスイッチ化の要望が出され、議論が続けられてきた。これまでの検討会議では、スイッチ化に対し、「妥当」とする判定がされており、19年4月から1か月間、パブリックコメントが募集されていた。
同日の会議では、同剤の効能・効果に「以前に医師の診断・治療を受けた人に限ること」を書き込むことを条件に、スイッチOTC化を「可」とした。ただ同日の議論で、長島公之委員(日本医師会常任理事)が使用の際に活用するセルフチェックシートの原案を示したうえで、改めて議論が必要だと指摘を続けていたことを受け、次回の会議で、事務局がシートの内容や運用方法について報告することになった。事務局では今後、専門家の意見や同日の議論を踏まえ、質問項目や管理方法など運用に関する考え方を報告する。
◎OTC化の妥当性 ミオナールは「不可」、ガスモチンは「可」
このほか同日の議論では、2成分のスイッチ化の妥当性を議論した。このうち筋緊張改善剤のエペリゾン塩酸塩(先発製品名:ミオナール、エーザイ)については、「不可」とした。日本OTC医薬品協会は「可」としていたものの、日本整形外科学会、日本臨床整形外科学会の両学会は、いずれも「不可」と評価していた。五味渕聡志参考人(日本整形外科学会社会保険等委員会担当理事・日本臨床整形外科学会 社内保連WG委員長・五味渕整形外科院長)は、「適応症は、自己診断するのが難しく、期待される効果が限定的であるにもかかわらず、脱力感などの副作用もある」と指摘。長島委員も、「腰痛や肩こりを引き起こす疾患は多種多様であるため、単剤で用いることはまずない」と同意した。
一方、消化管運動機能改善剤のモサプリドクエン酸塩水和物(先発製品名:ガスモチン、大日本住友製薬)については、「可」とした。ただし、「漫然と服用されることがないよう薬剤師が指導を行うとともに、2週間服用しても症状が良くならない場合、服用を中止。最長の投与期間も2週間に設定する」とする意見もまとめた。消化器病学会、日本臨床内科医会、日本OTC医薬品協会の3団体がいずれも「可」と評価していた。
厚労省は、今秋にもパブリックコメントを実施する考え。