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政府・規制改革推進会議が答申 NDBデータ民間に開放を エコシステム構築で革新的新薬創出も

公開日時 2019/06/07 03:50
政府の規制改革推進会議(大田弘子議長・政策研究大学院大教授)は6月6日、第5次答申を取りまとめ、安倍晋三首相に手渡した。医療の質向上や新たなビジネス創出に向けてデータの利活用がカギを握る。答申では、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)について、公益性のある場合は民間に開放することを盛り込んだ。製薬企業が、得られたリアルワールドデータ(RWD)を人工知能(AI)で解析するなどして革新的新薬創出につなげることも視野に入る。患者同意や個人情報保護法などが医療ビッグデータの利活用の障壁となっていることも指摘されるなかで、患者のデータ提供から二次利用まで踏まえたデータプラットフォームを活用したエコシステムの構築を後押ししたい考えだ。

医療データの利活用の改革案は、①個々人が自らの検診情報を利活用するための環境整備、②データ利活用のための標準規格の確立、③健康・医療・介護にかかわるビッグデータの民間開放―が柱。技術革新が進む中でデータを利活用して最適な医療提供サービスを提供するための包括的な環境整備の必要性を指摘した。特に、「個人情報保護法制の複雑性は新たなサービスやビジネス創出の阻害要因となる」と指摘。「特別法の立法などが必要との意見もある」と踏み込んだ。

◎標準規格の検討求める

そのうえで、国民ニーズの高い①救急救命における患者情報の医療機関共有、②セカンドオピニオンの取得、③自らの検診情報の取得と管理―などについて、個々人が検診情報を利活用するための環境整備や、データ利活用のための標準規格の検討など、包括的な環境整備に向けた検討を求めた。

標準規格については、全国の医療機関・保険薬局が患者情報を共有する「保健医療記録共有サービス」や、「マイナポータルを活用したPHRサービス」などの運用スタートが迫る中で、民間サービス事業者を含む関係者の意見や海外の先行事例を踏まえて、最低限必要となる標準規格を検討し、ガイドラインとして公表することを盛り込んだ。また、データの標準化が重視されるなかで、地域医療連携ネットワークにおいては、国際基準に準拠した疾病名マスターの採用を原則とすることも検討する。19年度に検討を開始し、20年度上半期に結論・措置を行う。

◎新薬開発や安全評価等の医療品質の向上など公益性のある利用を可能に

得られた患者の二次利用を通じた新たなビジネス創出にも期待がかかるなかで、医療ビッグデータの民間への開放も盛り込んだ。NDBについては、「世界でも稀にみる医療ビッグデータ」と評した。現行では、データの提供先が国の行政機関や都道府県、市区町村などに限定されている。答申では、「民間企業における新薬開発や安全評価等の医療品質の向上等、公益性のある利用」を目的とした情報提供を可能とするよう、提供に関わる審査基準・手順などをガイドラインに取りまとめることを盛り込んだ。2019年度中に検討開始し、20年度上半期に結論・措置を求める。

◎患者への情報提供 19年度中にQ&A発出へ


患者の医薬品情報へのアクセス改善も、改革項目に盛り込まれた。米国研究製薬工業協会(PhRMA)が “広告(宣伝)”と“適正な情報提供”の定義を明確にすることで、患者への情報提供ができるよう、患者への医療用医薬品の広告規制を緩和すべきと主張していた(関連記事)。ただ、改革案では、「客観的な情報の提供や、副作用について患者からの問い合わせを受けて回答する場合など」について、「医療現場への影響なども考慮して広告該当性との整理も含め、Q&A等にまとめて公表する」とするにとどめた。19年度中に検討し、結論を得て、措置する。

林いづみ委員(桜坂法律事務所弁護士)は、「実施事項として交通整理をしようということ」と説明。製薬企業の発する情報提供が不適切である可能性を問われ、「(不適切な情報は)防止しなければいけないので、その点を考えた慎重な表現になっている」と説明した。

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