メディパルHD ビジネスモデルをヘルスケア領域へ拡大 デジタルヘルスに着手
公開日時 2019/05/17 03:51
メディパルホールディングス(HD)の渡辺秀一社長は5月16日に記者会見し、2019~21年度までの中期ビジョンで、医療用医薬品卸売事業のビジネスモデルの変革を行い、医薬中心からヘルスケアへ事業領域を広げると表明した。毎年薬価改定や大型品の減少で国内医療用薬市場が停滞し、既存の医療用薬卸売事業だけでは成長が望みにくいと指摘。需要が高まっているヘルスケア領域で新たな事業を立ち上げ、利益を創出できる事業基盤の構築が必要と判断した。グループで1000億円を投資し、8割程度を新規サービス開発に充てる。その中で、デジタルヘルスに積極投資し、新規サービス創出のプラットフォーム化を目指す。
渡辺社長は、「卸は売れ筋の製品を売ってきた。しかし、売れ筋の製品が減る、プライマリ領域でマンパワーだけのビジネスは続くのか」との問題意識を披露。「(国内医療用薬市場が)横ばいの中で、どう増収増益をするかを考えた。合併しても10年後のビジョンは出ない。1000億円を使って新たなタネをまいて、次の世代をつくれればと思った」と説明した。既存医療用薬卸売事業だけでなく、協業による新規サービスの展開を見込むことから、業績目標は営業利益から経常利益に変更。現在より81億円増の720億円を目標にかかげた。
ビジネスモデルの変革の必要性について、▽患者・生活者の健康意識の高まり▽地域医療連携、地域包括ケアシステムの進展――などを挙げた。ヘルスケア、地域包括ケアには、医療関係者だけでなく、患者や生活者、医療機関、ITなど異業種産業、自治体などの多数の関係者が関与している。そのため協業によるサービス開発を重点戦略に据えた。
その中核がデジタルヘルス。同社はすでに、複数のIT企業と資本業務提携。これら企業は健診データ管理、健康相談、お薬手帳などの総合アプリ、電子カルテ、医療情報ポータルサイト、ビッグデータ解析技術、地域連携支援ツールを展開する。それに対しメディパルは医療関係者ネットワークを生かし、普及支援している。
中計ではデジタルヘルスの戦略展開に着手する。エンドドユーザーまでつながり、蓄積されるデータを活かす。それにより疾患の早期発見・早期治療、服薬の継続支援などの様々な地域医療の課題に対し、解決支援に向けたフィービジネスなどサービス創出を探る。