日医工 欠品の抗菌薬セファゾリン、「最短での供給再開目指す」 原薬出発物質の供給は再開
公開日時 2019/05/15 03:50
日医工の田村友一社長は5月14日、東京都内で開いた新中期経営計画と2018年度決算の説明会で、セフェム系抗生物質製剤セファゾリンナトリウム注射用「日医工」の欠品問題について、「患者やその家族に多大な迷惑をかけたことをお詫びする」と謝罪した。同剤は黄色ブドウ球菌感染症の治療や、手術で感染症を防ぐためのキードラッグのひとつ。厚労省が3月に代替薬リストを都道府県に事務連絡したり、日本感染症学会でもこの欠品対応を検討するなど影響が広がっている。
同剤は、無菌のセファゾリンナトリウム原薬を無菌環境下でそれぞれ0.5g、1g、2g(力価)充填した製剤。同社によると、汎用規格の1g製剤は約6割のシェアを占める。
同社では、原薬をイタリアのA社とB社の2ルートで製造し、国内で最終製品にしていた。このうち、18年末からイタリアA社ルートから購入している原薬に異物混入ロットが急激に増え、製造できない状況になった。
一方で、セファゾリンナトリウム原薬の出発物質のひとつであるテトラゾール酢酸(TAA)は世界で唯一、中国のTAAメーカーが製造しているが、環境規制の問題で、中国当局の指示により全世界で供給停止となった。結果、イタリアB社はTAAの在庫がゼロとなった。そして日医工は19年2月末に採用全医療機関に供給停止の案内を始めた。
田村社長はこの日、3月からTAAの供給は再開され、イタリアB社ルートでの原薬製造が再開されたと説明。「A社ルートの原因はある程度特定し、改善に向けて取り組んでいるが、まずはB社ルートでの供給を再開したい」と述べた。同社広報部は本誌取材に、最終製品の供給再開時期のメドについて、「最短での供給再開を目指しているが、まだ何時と言えるまでスケジュールが確定していない」と回答した。