薬食審 5月28日に第一部会 塩野義のAD/HD治療薬で成人適応追加審議へ
公開日時 2019/05/15 03:50
厚生労働省は、5月28日に新薬の承認の可否などを審議する薬食審・医薬品第一部会を開催する。塩野義製薬の小児AD/HD治療薬インチュニブ錠に成人適応を追加することなど、8製品を審議する予定。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽インチュニブ錠1㎎、同3㎎(グアンファシン塩酸塩、塩野義製薬):「注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」に成人適応を追加する新効能・新用量医薬品。
同剤は、AD/HD 治療薬として初めての作用機序である「選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬」で、1 日 1 回投与の非中枢刺激薬。すでに小児患者のADHD 治療薬として承認されているが、成人にも使えるようにする。
▽ロナセンテープ20㎎、同30㎎、同40㎎(ブロナンセリン、大日本住友製薬):「統合失調症」を対象疾患とする新投与経路医薬品。
ロナセンは、同社が創製した経口の非定型抗精神病薬。同社によると、同剤は 1 日1回、皮膚に貼付することで、24 時間安定した血中濃度を維持できるという。経口剤に比べ、食事の影響を受けにくく、食生活が不規則な患者や、経口服薬が困難な患者への投与を可能にする。
▽オンパットロ点滴静注2㎎/mL(パチシランナトリウム、Alnylam Japan):「アミロイドポリニューロパチー」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
▽ロミプレート皮下注250μg調製用(ロミプロスチム(遺伝子組換え)、協和発酵キリン):「再生不良性貧血」を適応に追加する新効能・新用量医薬品。
同剤は、血小板産生を促す因子トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬。2011年4月から指定難病の慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療薬として販売している。
▽ユルトミリス点滴静注300㎎(ラブリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「夜間ヘモグロビン尿症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
同剤は、長時間作用型の抗C5抗体。免疫系の一部である終末補体カスケードの C5 タンパクを阻害することで作用する。同社が発見・開発した。同疾患は、補体の活性化が慢性的に制御不能となり、溶血(赤血球破壊)を引き起こす血液疾患で指定難病の1つ。指定難病センターによると、国内の患者数は約400人とみられている。
▽ゾルトファイ配合注フレックスタッチ(インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ):「2型糖尿病」を対象疾患とする新医療用配合剤。
インスリン製剤のトレシーバとGLP-1受容体作動薬ビクトーザを組み合わせた配合剤。
▽ミニリンメルトOD錠25µg、同50µg(デスモプレシン酢酸塩水和物、フェリング・ファーマ):「夜間頻尿」の適応を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。
既存の60μg、120μg、240μg製剤は、尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症と、中枢性尿崩症を効能・効果とする。今回の適応追加に伴い25μgと50μgの規格を追加する。
▽デファイテリオ静注200㎎(デフィブロチドナトリウム、日本新薬):「肝類洞閉塞症候群」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
同疾患は、血液がんなどの治療に実施される造血幹細胞移植の合併症として知られている。症状は、ビリルビン値の上昇、体重増加、肝腫大、腹水、黄疸などだが、重症の場合は多臓器不全により死亡率が80%に至る。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽レパーサ皮下注140㎎シリンジ、同140㎎ペン、同420㎎オートミニドーザー(エボロクマブ(遺伝子組換え)、アステラス・アムジェン・バイオファーマ):「高コレステロール血症」について、スタチン不耐性の患者で単剤使用を可能にする新効能医薬品。
同剤は16 年4月、家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症(ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、スタチンで効果不十分な場合に限る)を効能・効果に販売を開始したが、用法・用量に関連する使用上の注意には、「スタチンと併用すること」が記載されている。