米FDA オピオイド中毒治療薬ナロキソンスプレー式点鼻薬初のGEを承認
公開日時 2019/05/08 03:50
米食品医薬品局(FDA)は4月19日、Teva Pharmaceuticals US Inc社のオピオイド過剰投与による中毒の治療薬としてナロキソン塩酸塩スプレー式点鼻薬初の後発品(GE)を承認した。なお、FDAは2018年6月8日に同剤について暫定承認しており、今回最終的に正式承認となった。FDAはあわせて、オピオイド中毒治療薬の後発品承認審査の優先制度および治療薬のOTC化促進を計画していることも発表した。
ナロキソン塩酸塩については、注射薬の後発品がすでに医療機関では何年も前から使用されてきたが、医療トレーニングが不要で地域社会の医療機関で使用できるスプレー式点鼻薬では初の後発品となる。
オピオイドの過剰投与をすると医療介入がない場合、完全に意識を回復させることは困難で、呼吸は浅くなるか、完全に停止し、死に至る。ナロキソンスプレー式点鼻薬を迅速に投与すれば、通常、数分で過剰投与による中毒に拮抗できる。
FDAは、今回のナロキソンスプレー式点鼻薬の後発品を迅速に承認するよう、多くの意見を聴くために、昨年12月に2日間の諮問委員会を開催した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のDouglas Throckmortonセンター次長(規制プログラム担当)は、「オオピオイド危機を受けて、過剰投与に対する、この緊急的な拮抗治療をすぐに利用できアクセスしやすいようにする多くの努力がなされている」と関係者の取り組みを評価した。
さらに、「初のナロキソンスプレー式点鼻薬後発品に加え、ナロキソンの後発品承認申請の審査を優先するよう進めている」と述べた。そのうえで、「FDAは、ナロキソンのOTC薬の承認を求める製薬企業を支援するいまだかつてない手段を取っている」と話し、ナロキソン中毒を消費者が直ちに治療できるようにOTC化に力を入れていることも説明した。
米疾病管理予防センター(CDC)によると、1999年から2017年までに、約40万人がオピオイドの過剰投与で死亡している。平均で毎日130人がフェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドンおよびモルヒネなど処方せん薬のオピオイド、およびヘロインなどの違法薬物の過剰投与で死亡している。