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厚労省・妊産婦調査 8割が他科受診時の「説明文書」提示求める

公開日時 2019/04/18 03:50
厚生労働省は4月17日開催の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」に、妊婦ら約2000人を対象とした調査結果を報告した。それによると、妊産婦の約52%が妊産婦健診以外の目的で診療を受けており、産婦人科以外の他診療科の受診は38.4%に上った。一方で、産婦人科医と他科の医師同士の連携については、58%が「なかった」と回答。8割の妊産婦が「妊婦に配慮した診療や薬剤の説明文書を手渡して欲しい」と希望していることも分かった。出席委員からは、母子手帳や説明文書などの文書を通じた情報提供の重要性を指摘する意見が相次いだ。

調査は、妊産婦に対する保健・医療体制のニーズを探ろうと、今年3月に実施されたもの。全国の分娩を取り扱う医療機関500施設で、妊婦検診や産後検診を受診する女性を対象にインターネットを通じて行い、1916件の回答を得た。年齢別の回答割合は30~34歳が36.0%と最も多かった。

妊産婦をめぐっては、初産年齢が高齢化するなかで、基礎疾患や精神疾患などを合併するハイリスク妊婦が増加し、周産期の外来医療を充実する必要性が高まってきたことがある。このため妊産婦が安心して医療機関を受診できる体制整備や、医療者同士の情報連携、さらには妊産婦に対する情報提供などのあり方の検討が求められている。

この日公開された調査結果によると産婦人科に受診する妊産婦のうち、他の診療科を受診する割合が4割近くに及び、その受診先は、内科(50.5%)、歯科・歯科口腔外科(34.1%)、耳鼻咽喉科(22.6%)の順。約6割の妊産婦が妊娠前から受診していた「かかりつけ医」を選択していた。受診理由は、熱、せき、たん、鼻づまりなどの感染症状がトップで42%。

産婦人科以外の診療科を受診した際の妊婦への「気配りで特に大切なこと」について回答を求めたところ、「妊婦に配慮した診療・薬の内容について、説明文書を手渡して説明を行う」が最も高く80.7%。次いで「妊婦の診察に十分な経験がある医師が診察する」が48.4%、「診療中に母子手帳を確認する」が41.0%と上位を占めた。一方、薬局に対する「気配り」については、「妊婦の授乳に気を配って薬の説明をすることが大切」と考える妊婦は全体の62.1%だった。

◎母子手帳などツール検討も一考


この調査結果を踏まえ松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)は、「文書に診療上の説明や注意を医師が書き込めば、患者の納得も得られるのではないか」と指摘した。また、
中井章人委員(公益社団法人日本産科婦人科学会代議員、日本医科大学多摩永山病院院長)は、口頭の説明では主治医に正確に伝わるかどうか懸念があるとしたうえで、「母子手帳などのツールを検討してはどうか」と提案した。

妊婦をめぐっては、妊婦が医療機関を受診した際に上乗せされる「妊婦加算」が批判を集め、19年1月から凍結状態となっている。検討会はこの凍結を受けて設置され、5~6月にかけて、妊産婦に対する医療提供体制や健康管理の推進に向けた方策のとりまとめを目指している。とりまとめは中医協に報告するが、診療報酬上の評価の在り方は、中医協で検討する。
 
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