湘南アイパーク スポーツ選手やアイドルに会える特典付き保険商品で健康増進
公開日時 2019/02/27 03:52
スポーツ選手やアイドルに会える特典付き保険商品でメタボを解消!-。武田薬品を開放して設立した湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、湘南アイパーク)と保険会社、ジム大手のRIZAPなど8社で構成する“湘南会議”の参加企業は2月26日に記者会見に臨み、未病改善に向けた2つのビジネスモデル構築に合意したと発表した。メタボの未病男性が健康へと改善するために、趣味や職場を介して行動変容を促すソリューションの開発を急ぐ。
◎ターゲットはメタボの未病男性 行動変容促すプログラム構築を
2018年12月にスタートした湘南会議のターゲットは、“メタボの未病男性”。早食いで、家ではゴロゴロ。生活や美容、健康への関心の低い層に気づきを与え、いかに行動変容を促すか―。
湘南会議が着目したのが、“趣味コミュニティ”と、“職場”の2つのアプローチだ。
趣味コミュニティに着目したプログラムでは、スポーツチームやゲーム、アイドルなどの“ファン”に対して、改善プログラムを提供する。体重減少やHbA1c値の改善などの度合いに応じて、イベントを通じてアイドルに会えるなどの限定の特典を設ける。食事・運動療法の継続が難しいと指摘されるなかで、趣味への熱い想いでモチベーションを高め、行動変容につなげる狙いがある。成功事例を重ねることで、様々なファン層への拡大も視野に入れる。いわゆる、健康増進型保険と呼ばれる保険商品の開発を目指す。
◎藤沢市・鎌倉市と連携 中小企業従業員へのアプローチを可能に
職場を介したアプローチでは、中小企業の従業員を健康にするプログラムを提供する。従業員の健康増進や業績向上につなげ、成果に応じて報酬を受け取る“成功報酬型”のビジネススキームを描く。
「企業に属さない一般の方や中小企業の方へのアプローチは難しいと日々感じている」―。ライオン研究開発本部戦略統括部・栗田啓氏はこう話す。企業としては手の届かない層に対して、藤沢市や鎌倉市など自治体と連携することで、アプローチが可能になる。中小企業を元気にすることで、中長期的には、医療費削減や地域経済の活性化に貢献したい考えだ。
◎複合的なソリューション提供で行動変容促す
湘南会議の生み出すビジネスモデルは、”メタボ”という課題解決に、製品単独ではなく、複合的なソリューションでチャレンジするのが特徴だ。湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは、「未病の方に気づきを与え、行動変容してもらうには、商品を作るというよりは生活全体を考えた」と話す。
生活習慣の改善には、個々のライフスタイルや性格などに合致したアプローチが必要になる。メタボに対しても、例えばRIZAPグループの有するボディメイクやダイエットでのノウハウ、ライオンの有する歯磨きによる歯周病予防など多彩なアプローチがある。ただ、単独の製品では限界もある。
RIZAPグループグループ営業本部グループ戦略推進部グループマーケティング推進ユニットの松岡洋平ユニット長は、「(個々に合った)一様ではない解決策に対し、色々引き出しをもって提供していくことがメタボの解消に必要ではないか」と話す。ライオンの栗田氏も、「歯を磨けば糖尿病が治ることを理解して使ってもらうにはサービスが必要だと考えている」と述べた。武田薬品メディカルアフェアーズ部の亀田俊樹氏は、エビデンス創出力や疾患啓発などで貢献する姿勢を強調。そのうえで、「疾患全体を俯瞰しながら、課題解決を行っていくことが製薬企業の今後あるべき姿だと考えている」と話した。
第1期湘南会議は、2018年12月から集中的な議論を重ね、3回の会合を通じて、ビジネスでモデル構築に至った。4月を目途に具体化に向けたビジネス案を固め、実証段階へと移りたい考え。スタートから3か月でビジネスモデルの構築までこぎつけたスピード感も特徴だ。
「湘南会議は、社内起業家(アントレプレナー)でつくる本気のコミュニケーションプラットフォームだ」と藤本氏は話す。未病に参画する企業は多いが、現在のところビジネス化に至った例はまだ少ない。ビジネス化のハードルを越えるために、“湘南会議”という、企業の枠組みを超えたアントレプレナーが集う場を構築したことが、大きな原動力となったと言えそうだ。
なお、第1期湘南会議には武田薬品、武田コンシューマーヘルスケア、ライオン、RIZAPグループ、日本生命保険、アフラック生命保険、SOMPOホールディングス、電通の8社が参加する。
◎第2期 テーマは認知症 4月から公募スタート
今後は、「認知症」をテーマに、新たに第2期湘南会議を開催する。4月には参加企業の公募を開始し、6月には新たな参加企業で検討をスタートさせる予定。