第一三共 がん事業のグローバル展開強化で組織大幅見直し がん専門MR創設へ
公開日時 2019/02/25 03:52
第一三共は2月22日、がん事業のグローバル展開を強化するため、4月1日に組織改定を行うと発表した。研究開発をはじめ組織全体を大幅に見直す。それにより、創薬力を強化し、グローバルな開発と承認申請を迅速に行い、確実に製品を届けるサプライチェーンを整備。メディカル、MRの情報活動を強化し、適正使用につなげる。国内営業では、がん専門MRを創設する。
同社は、見直した第4期中期経営計画で、将来の事業の柱とするがん事業を強化・加速する戦略を打ち出した。2018年度から5年間の研究開発投資に計1兆1000億円を投じ、これまで以上にがんに重点投資する。国内では19年度には、急性骨髄性白血病の治療薬として承認申請中のキザルチニブ(一般名)の承認が見込まれる。また、国際戦略品で成長ドライバーである開発中の新規抗がん剤「DS-8201」の転移性乳がんに対する承認申請を1年前倒し、19年度に行う方針。中期計画の推進と製品開発が進んできたことを踏まえ、組織を見直す。
研究開発本部 がん領域をより中心にした体制に
研究開発本部では、がん領域をより中心にした体制にする。また、疾患領域別の研究組織を、薬理と合成のそれぞれの機能別の組織に見直し、研究機能の効率化を図る。がん領域では、現在「オンコロジーラボラトリー」「バイオ・癌免疫ラボラトリー」があるが、薬理研究機能は「オンコロジー第一研究所」「オンコロジー第二研究所」に再編する。他のスペシャルティ領域では、疼痛・神経、臓器保護、希少疾患、ベンチャーサイエンスにおいて、薬理研究機能は「スペシャルティ第一研究所」「スペシャルティ第二研究所」に再編。低分子合成研究機能は、新設する「創薬化学研究所」に集約する。
製薬技術本部は、がん領域パイプラインの開発加速化と価値最大化を目指す。治験薬の製造・供給業務をグローバルに推進する「CMC推進部」を新設する。さらに、抗がん剤は効能追加の機会が多いことから、承認後の変更申請を含むCMC薬事関連業務を、確実、タイムリーに行う「CMC薬事部」を新設。開発から薬事申請までのスピードアップを図る。
グローバルサプライチェーンを強化
グローバル開発の中でも、開発から市場供給までを確実に迅速に行える体制構築のためサプライチェーン本部を組織再編する。低分子化合物のみならず、抗体、細胞医療などさまざまなタイプの製品の登場で管理も複雑さを増すことが想定されることから、それらのグローバルサプライチェーンの機能強化が必要と判断した。その中の「生産管理部」は「サプライチェーンン管理部」に改称し、機能を明確化する。
がん領域のメディカル機能で組織新設
国内向けの体制では、新規抗がん剤の上市が控えていることを受け、がん領域のメディカルアフェアーズ(MA)機能強化を図る。そのため「オンコロジーメディカルサイエンス部」を新設する。体制の規模、所属人数は開示していない。
今回発表しなかったが、国内営業体制ではがん専門MRを新たに配置することを、同社は明らかにした。現在はがんと整形の担当だが、がんに特化した活動にする。それによりがん領域に関連する薬剤の適正使用に向けた情報活動を強化する。どの程度の員数を配置するかは非開示だが、営業所に一定人数を配置する。現在の国内MR2200人体制は維持する。
同社の眞鍋淳社長は、18年10月の第4次中計見直しの発表会見で、「(製品ポートフォリオが今後)がんにシフトしていく中では販売体制は変わっていく。MSLを含めたメディカルアフェアーズへの移行はある。現行製品群がいつまで特許があり、がんの製品がいつ頃出てくるのか、そのタイミングを見計らって、MR数(見直し)やMSLの強化をやっていきたい」と話していた。