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中医協(田辺国昭会長)は2月13日、根本匠厚労相に、10月に実施予定の消費増税に伴う診療報酬改定について答申した。初診料は6点引上げの288点、再診料は1点引上げの73点、調剤基本料は各1点上乗せとなる。告示の時期は未定だが、3月告示は見送られる見通し。薬価については通常告示前に行われる個別の製薬企業に対するヒアリングがまだ行われていない状況にある。 2019年10月に予定される消費増税をめぐっては、根本厚労相と麻生財務相が予算編成の過程で、診療報酬改定について本体を0.41%引き上げることで合意した。改定財源については約4700億円確保した。内訳は、医科約4000億円、歯科約400億円、調剤約300億円。 消費税率を5%から8%に引き上げた際に十分な補填がなされていなかった経緯を踏まえ、8%引上げ時を一度リセットし、2014年度改定前の診療報酬点数をベースに点数の引上げを行う。高度急性期・急性期病院で補填不足が大きかったことなどを踏まえて補填を精緻化すべく、基本料を中心に補填が行われた。直近のNDB(ナショナルデータベース)データを用い、入院料について病院種別や入院料別のシェアを考慮するなどの工夫もなされた。補填の大きくなった急性期一般入院料1を59点引上げの1650点、7対1特定機能病院入院基本料を119点引上げの1718点となる。 この日の中医協で、田辺会長は大口善徳厚労副大臣に答申書を手渡した。大口厚労副大臣は、「10月の施行に向けて万全を期す所存だ。国民の理解を得られるよう、分かりやすい周知に努める。改定後の補填状況の検証は速やかに、かつ継続的に行う」と述べた。 ◎日医・松本常任理事 点数上乗せは「医療機関の利益ではない」 国民の理解求める 中医協支払側委員を務める日本医師会の松本吉郎常任理事は同日開かれた日医の会見で、「きめ細やかな配分と継続的な検証ができたことは、遅きに失する感はあるが、控除対象外消費税の問題は解消できる」と評価した。診療報酬は非課税だが、医療機関は医薬品や医療機器などで増税負担していることから、「診療報酬上の上乗せが医療機関の利益になるわけではないことを理解していただきたい」と理解を求めた。 議論の過程では支払側から個別項目への補填を求める声もあがったが、過去に点数が消滅するなどして検証ができなかった経緯を振り返り、「広く薄く公平に上乗せすることが望ましいということから、基本料に代表させることになった経緯がある」と説明。「全ての方に納得させる上乗せはできない。そういうなかでの対応であるということをご理解いただきたい」と述べた。 ◎支払側・幸野委員 医療費の伸び上乗せ「精緻化という意味で疑問残る」 議論の過程では、課税経費率と入院料シェアに基づき、初診料の上乗せ率を5.5%と算出。在院日数の短縮や患者数の減少などの傾向があるなかで、医療動向の変化として、2016~19年度にかけての医療費の伸び9.0%を一律に上乗せして調整。最終的に初診料を6.0%上乗せとして最終的に診療報酬点数を決定した経緯がある。 これについて日医の松本常任理事は、「医療費の伸びは含まれないと必ず補填不足となってしまう。今回の改定に上乗せすることは当然である」と述べた。 一方、中医協後、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は記者団に、「財源の関係もあるだろうが、分科会でも総会でも議論されなかった、概算医療費の伸びを一律に上乗せしたことは精緻化という意味では疑問が残るという点は残念だ」とコメント。増税率をうわまわる配分がなされた点数もあることから、「国民、患者側からの負担を考えると理解を得るのは困難だ。患者の視点を欠いた改定になっていることは言わざるを得ない」と述べ、厚労省側に国民への十分な周知を行うよう求めた。
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