英NICEガイダンス案 喘息薬ベンラリズマブを推奨
公開日時 2019/01/21 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は1月4日、英AstraZeneca社の喘息治療薬Fasenra(ベンラリズマブ)について、NHS(国民保健サービス)における使用を推奨する内容のガイダンス案を発表した。ヒト化抗IL(インターロイキン)-5受容体モノクローナル抗体製剤で、成人における重症好酸球性喘息で吸入治療薬によって喘息のコントロールが困難だった場合に用いる。
英国での同剤のリスト薬価は、30mgプレフィルド・シリンジ1本1955ポンド(27万3700円、1ポンド=140円換算:付加価値税除く)である。NHSへの提供価格は、NHSと当該企業との合意した割引率に基づくので、この価格より安い。用法用量は、1回30mgシリンジを、初めの3回は4週ごと(初回、4週後、8週後)皮下注射を行う。以降は8週ごとに投与する。
同クラスの薬剤では、重症好酸球性喘息の適応でNICEが推奨したのは、グラクソ・スミスクライン(GSK)のメポリズマブ(2016年12月推奨)、テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ社のレスリズマブ(17年10月推奨)の2剤に次いで3剤目。メポリズマブあるいはレスリズマブの投与適格者は、ベンラリズマブに代替可能となる。
NICEのMeindert Boysen医療技術評価センター(CHTE)長は、「十分にコントロールされていない重症好酸球性喘息の人々は、QOLが損なわれる」と指摘。「そのために、不安症やうつ病など精神的障害を招来し、また、常に致命的な喘息発作に襲われるという不安も持っている」と患者の実態を説明した。そのうえで、「生物学的製剤による治療は、喘息を良好なコントロールを可能にすることによって、これら喘息に苦しむ患者の生活を変革した」と同クラス製剤を評価した。
同疾患は稀な病態で、英国には約10万人の患者がいるという。