14年がん罹患数86.7万例 男性は胃・女性は乳房が最も多く 国がん調査
公開日時 2018/09/18 03:50
国立がん研究センタ-は9月15日、2014年にがんと診断された症例は全国で約86万7000例だったと発表した。13年と比べ、1万8000人増加した。部位別にみると、男性では胃、女性では乳房の罹患数が最多だった。人口構成の違いを除去した都道府県別の比較では、がん治療の均てん化が課題として掲げられるなか、地域間格差が浮き彫りになった。いずれのデータも、国がんの「がん情報サービス」で公表している。
文末の「関連ファイル」に、がんの主要部位別の罹患数に関する資料を掲載しました(9月18日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。
2014年にがんと診断された症例は、全国で約86万7000例で、13年と比べると、1万8000人の増加となった。人口の高齢化の影響を除いた年齢調整罹患率は人口10万人あたり354.6人で、13年と比べると1.0%の増加となった。部位別の罹患数と罹患割合は以下の通り。【男性】▽胃(8万6656人、17.3%)、▽肺(7万6879人、15.3%)、▽大腸(7万6718人、15.3%)、▽前立腺(7万3764人、14.7%)、▽肝および肝内胆管(2万7315人、5.4%)—。【女性】▽乳房(7万6257人、20.8%)、▽大腸(5万7735人、15.8%)、▽胃(3万9493人、10.8%)、▽肺(3万5739人、9.9%)、▽子宮(2万4944人、6.8%)—。罹患数では、男女ともに13年から順位の変動は見られなかった。一方で年齢調整罹患率でみると、女性の脳・中枢神経系では13年との比較で10%以上増加した。
◎罹患率と死亡率が乖離する地域も 「がん対策上介入可能な地域差」
人口構成の違いを除去した都道府県別の比較では、男女ともに北海道や東北、山陰、九州北部で標準化死亡比が高い傾向にある。標準化罹患比では、近畿、中国地方が高くなった。罹患比と死亡比で差が大きかったのは、富山、石川、奈良、広島。一方小さかったのは、青森、秋田だった。この結果について報告書では、「あくまでも日本全体を俯瞰しての傾向の違いを把握するにとどめなければならないが、複数年を累積した解析においても同様の傾向がみられる」とした。そのうえで罹患率と死亡率の差については、「がん対策上の介入が可能な地域差が表れていると考えられる」と分析した。会見でがん登録センターの松田智大室長は、「食塩の摂取量、喫煙リスクなどが原因ではないかと考えられる」と述べた。
今回の症例数は、全国47都道府県内の病院や診療所で診断された症例を合計して算出している。これまでは推計値を主に採用していたが、提出されたデータの精度が向上したため、初めて合計値を採用したという。記者会見で、がん対策情報センターの若尾文彦センター長は、「正確な罹患者数の把握は、新たな対策時の効果検証につながる」と意義を強調した。
◎18年予測 罹患数と死亡数はほぼ横ばい
国がんは同日、18年に新たにがんと診断される罹患数と死亡数の予測も発表した。いずれも17年予測と比べ、ほぼ横ばいだった。罹患数は、17年予測と比べて約400例減の約101万3600人だった。また死亡数は17年予測と比べ約1100人増の約37万9900人だった。