リウマチ対策報告書まとまる 生物学的製剤の適正使用推進を促す 厚労省
公開日時 2018/07/09 03:50
厚労省の「厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会」は7月6日、関節リウマチ患者の生活の質の改善を目指すなどとする新たな報告書をとりまとめた。報告書では、リウマチを含む領域の医療費が3番目に多いと指摘。生物学的製剤が登場し、治療成績が向上する一方で、高額であることも課題となっている。そのため、適正使用を推進することで、医療の質を向上するとともに、医療費の適正化も促す考え。報告書の改訂は7年ぶり。厚労省は、近く都道府県や関係団体等宛てに通知を発出し、広く医療機関に周知を図る。
報告書は、生物学的製剤の普及などで診断や治療が飛躍的に進歩したとする現状をふまえ、改訂された。医療費については、「筋骨格系および結合組織の疾患」は全体の7.7%を占め、3番目に多いと指摘。炎症性多発性関節障害にかかる医療費は、2852億円に上ったとした。こうした現状について報告書では、薬物療法により、疾患活動性が低下している患者への薬物の減量・休薬・中止に関する検討や、高額な生物学的製剤の使用方法の検討が十分ではないと指摘。関係学会は、国と連携し、診療ガイドラインを改訂し、普及することが必要だとした。
一方、患者数については、約33万人という推計や、60万から100万人いるとする調査結果など様々な報告があると記載。国は関係学会等と連携して、実態を十分に把握していくなどとした。
このほかには、小児期や成人期など各年代に応じた診療や支援の充実を目指すことや、専門的な医師の育成により、地域偏在を解消していくことなどを盛り込んだ。
委員会を受け、佐々木昌弘がん・疾病対策課長は、「いま社会全体が、病気と日常生活をどう付き合わせていくのかを考える段階にきている。技術の成長や社会全体の変化のなかで、今後政策を実現していきたい」と述べた。