愛知県と塩野義 在宅医療広がり見据え薬物乱用防止で協定 全国初
公開日時 2018/05/24 03:50
愛知県と塩野義製薬がこのほど、薬物乱用防止に向けた協定を締結した。在宅医療の広がりに伴い、緩和ケアに必要な医療用麻薬の家庭での使用機会が今後一層増えるとして、適正使用を訴える。愛知県によると、都道府県と製薬会社が薬物乱用防止に関する協定を締結するのは全国で初めてという。
医療用麻薬は、主に医療機関で使用されてきたが、地域包括ケアや在宅医療の広がりで家庭での使用が増加する見通しだ。協定は、薬物乱用防止の啓発に関することや、医薬品の適正使用の啓発に関することを柱としている。具体的には、同社主催の医療従事者向けの研修会で、県職員が法律上の取り扱いを説明するほか、麻薬・覚醒剤乱用防止運動の共同で実施する。
愛知県によると、覚せい剤や大麻などの薬物事犯による県内の検挙者数は、近年1100人前後の高水準で推移している。愛知県医療安全課は、「協定がさらなる薬物乱用防止対策の推進につながると期待している」とコメント。塩野義製薬は、「医療用麻薬の不適切な取り扱いを未然に防ぐ活動に取り組むことで、がんの痛みから患者さまが解放され、医療用麻薬の乱用を起こすことのない社会づくりに貢献したい」としている。