武田薬品 シャイアーに6.7兆円規模で4回目の買収提案 現金比率積み増し
公開日時 2018/04/23 03:52
武田薬品はアイルランド・シャイアー社に4回目の買収提案を行ったことを4月20日、発表した。買収提案は1株当たり47.0ポンド。時価総額で下回る武田薬品からの買収への懸念も聞かれる中で、前回の提案よりも現金を上積みし、シャイアー社の株主総会からの賛同を得たい考え。全株式を取得すれば6.6兆円を超え、過去国内で行われた買収で最大となる。シャイアー社は4回目の提案を受け、「株主総会で立場を検討する」と前向きに検討する姿勢を示している。
◎東証上場、本社も日本に維持する方針
今回の提案は、同社が最初に買収提案を行った3月29日の1株当たり44ポンドから7%積み増しし、買収報道の直前の3月23日の株価に58%のプレミアを付けた金額としている。株式は現金21ポンドと、武田薬品の新たな株26ポンドからなる。現金での支払いを前回の17.75ポンドから18%上積みした格好だ。
アイルランドの法人税率が低いことから節税目的での本社移転も囁かれてきたが、武田薬品はこの日の声明で、買収後も、本社を日本に置き、東京証券取引所での上場を維持する方針も明らかにした。一方で、シャイアー社の株主が、買収後も株式を保有し続けられるよう、買収完了時に、ニューヨーク証券取引所にADRプログラムを上場する予定であることも示した。現時点でも、敵対的買収を行わない考えも示している。
企業買収に基づき、英規制当局が定める期日である、25日午後5時(ロンドン時間)までに最終的な買収提案か買収断念かを公表することが求められる。武田薬品は、最終合意に向けてデュー・ディリジェンスに時間がかかることなどから、期間の延長に向けてシャイアー社の取締役会と建設的な議論を行う考えも示した。
シャイアー社はこれまでパイプラインや成長見通しなどから、「当社の価値を過小評価している」として、3度の買収提案を拒否してきた。
◎アラガンは断念
シャイアーの買収に名乗りを上げていたアイルランド・大手製薬会社のアラガンだが19日、買収の検討を発表した数時間後に、「買収についての申し出は考えていない」とする声明を発表した。