24年予測 国内医療用薬市場は9兆5000億円台に 毎年0%台後半から1%台の伸び メーカー出荷ベース
公開日時 2018/01/30 03:52
富士経済は1月29日、日本の医療用医薬品市場(メーカー出荷ベース)が2018年以降、毎年0%台後半から1%台の低成長で推移し、24年に9兆5528億円になるとの市場予測をまとめた。この24年の市場規模は16年比で5.9%増となる。後発医薬品の数量シェア80%目標の達成や大型新薬への市場拡大再算定といった医療費抑制策が低成長の要因となるなか、特にがん領域、中枢神経領域、整形外科領域、抗凝固薬などで構成する「その他循環器疾患治療薬」――の新薬が国内市場の伸びに寄与するとしている。
文末の「関連ファイル」に、日本の医療用医薬品市場(全体、主な薬効領域別)の24年までの市場規模予測をまとめた資料を掲載しました(1月30日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。
調査方法は同社専門調査員による参入企業や関連企業などへのヒアリングや文献調査などをもとにまとめたもの。調査期間は17年10月~12月。
調査結果によると、17年は8兆7709億円、前年比2.8%減と予測した。多くのC型肝炎患者で根治が期待できる新薬ハーボニーやソバルディが15年に登場、16年まで国内市場全体の拡大要因にもなったが、17年にはC型肝炎患者への治療が一巡したことにより、C型肝炎治療薬市場は急速に縮小。この影響が大きく、国内市場全体も縮小すると分析している。
ただ、17年の市場規模を底として、18年以降はがん領域などの新薬によって、国内市場全体は低い伸長率ながらもプラス成長に転じる。18年は8兆8831億円(前年比1.3%増)となり、19年には16年以来ふたたび9兆円台にのると予測。そして、24年には9兆5000億円に達すると分析している。
■抗がん剤の市場規模 24年に生活習慣病市場を上回る
24年までの市場規模予測を薬効領域別に見てみると、抗がん剤市場は右肩上がりに推移し、16年に約1兆円だった市場規模は24年に1兆4000億円超にまで拡大する。一方で、16年に1兆5000億円超と最大市場を形成していた生活習慣病市場は後発品の普及を背景に縮小し続け、24年には1兆4000億円を下回ると予測した。富士経済は17年~23年の年次推移の詳細を明らかにしていないが、24年には抗がん剤市場が生活習慣病市場を上回って最大市場を形成するといえそうだ。
抗がん剤市場では、がん免疫療法薬などの新規機序の新薬が「新たな需要を創出している」とし、「今後も大きな伸びが期待される」としている。抗がん剤以外では、“その他循環器疾患治療薬”とのカテゴリーで、「抗凝固薬や利尿薬の新製品が伸びており、着実な成長が予測される」。CNS領域でも患者数の増加や新薬の登場を背景に抗パーキンソン病薬やADHD治療薬などが堅調に伸び、整形外科領域に関しても抗リウマチ薬や骨粗鬆症薬の「伸びが大きい」と分析している。