米国・病医院チェーンと退役軍人局 非営利後発品企業設立へ
公開日時 2018/01/26 03:50
米病医院チェーン4社と米退役軍人局が、官民共同で非営利後発品企業を設立することが分かった。後発品の製品不足問題や値上げ問題を根本的に回避することが狙い。病医院チェーンのIntermountain Healthcare、Ascension、SSM Health、Trinity Healthの4社と米退役軍人局が1月18日に発表した。
米・病医院チェーン4社の有する合計450病院に供給するエッセンシャルドラッグはじめ、後発品を自ら製造し、製品不足や値上げに対応することにより、同時にGE市場に健全な競争をもたらし、この問題打開への契機になりたいとの意向を示している。
具体的には、新会社は、FDA認可の企業となり、直接GEを製造する一方、CMO(医薬品製造受託機関)に製造を委託し、関係病医院の患者に提供する。これにより、医薬品コストを低減し、GEの供給予見性を明確にし、GE市場における患者中心の医療を実現する考えだ。
Intermountain HealthcareのMarc Harrison社長兼CEOは、今回の官民協力によってGE市場での流れを大きく変えるとの認識を示しながら、「野心的な計画だ」と指摘したうえで、「病院チェーンは、GE市場の問題解決をするには好適なポジションにいる。我々は毎日のようにエッセンシャルドラッグがどう不足し、あるいは同じ薬剤が極端な値上げになるのかを見ている。我々は、GE市場にもっと競争をもたらすことによって、患者のために状況を改善できると信じている」とコメントした。
VAのCaroline M Clancy担当幹部は、「VAは、我々のヘルスケアにおける使命を果たすためにGEを安価かつ安定供給しなければならない機関として、新会社が米国のヘルスケアにもたらす価値に期待したい」と話した。
今回の新会社設立に向け、アムジェン社元幹部やメディケア&メディケード・サービス庁元幹部、ハーバード大学教授および前ネブラスカ州知事らで構成する諮問委員会を設置、新会社の詳細を煮詰める。各社およびVAの新会社への出資額や出資比率などは明らかにしていない。
Intermountain Healthcareは本部をソルトレークシティに置き、22病院180診療所を持つ。Ascensionはカトリック系の企業で141病院及び約30の高齢者施設を持つ。SSM Healthも本部がセントルイスにあるカトリック系の企業で24病院および約300診療所を有する。Trinity Healthもミシガン州リボニアに本部を置くカトリック系企業で、93病院および109の高齢者施設・ホスピスなどを持つ。VAは、900万人以上の退役軍人の医療保険を管掌している。