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厚労省 薬機法の広告規制すり抜けるプロモーション事案への対応を検討

公開日時 2017/11/17 03:52

厚生労働省は11月16日までに、製薬企業が行うプロモーションのうち、現行ルールの網を抜けて医師の処方を歪める広告違反の対応策の検討に動き出した。ディオバン事件やバイエル問題などを通じ、不適切な情報提供をめぐる問題が社会的に指摘された。同省医薬・生活衛生局が6月に公表した「広告活動監視モニター事業」の結果から、薬機法の広告規制に該当する違反事例は近年減少する一方で、MRやMSLによる医師への社外秘データの口頭説明や不適切な自主作成スライドの投影など、現行の広告規制をすり抜けるような事案も散見されていた。

医療用医薬品のプロモーションについては、医薬品医療機器等法(薬機法)第66~68条による虚偽・誇大広告の禁止や、医薬品等適正広告基準の通知、さらには日本製薬工業協会(製薬協)がプロモーション・コードを策定するなど企業側の自主規制もある。磯部総一郎監視指導・麻薬対策課長は本誌に対し、「各国の取り組みを十分調査して行っていきたい」と強調した。適正化を進める方策としては、通知の発出や法改正、ガイドライン策定などの選択肢があるが、磯部課長は、「当然考えている。これまでは製薬業界が自主基準で取り組んできた。国でどこまでやるかだ」と述べた。

厚労省が委託事業として実施した医療用医薬品の広告活動監視モニター事業では、医師や薬剤師、DI担当者などのモニターを通じて集積された不適切な広告活動の事例が、3か月間で39製品、項目は延べ64件にのぼったことが報告されている。未承認の効能効果や用法用量を示した事例や、事実誤認の恐れのあるデータ加工を行った事例などがあがった。

この中には、MRやMSLが、説明会や情報提供を行う、いわば“クローズドな場”で、社外秘のデータを口頭で説明、もしくは投影するなどし、その後資料を回収し証拠を隠滅した事例も含まれている。グラフの目盛りを変えるなど、受け手の誤認を誘発しているケースも散見された。現行の広告規制では対応しづらい一方で、医師の処方への影響が大きいだけに適正化の必要性も迫られている。


◎医学誌BMJ MR資格化のフランスは接待少なく、逆に有害事象の提供に注力


監視指導・麻薬対策課は、米国、フランス、イギリスなどの事例を踏まえ検討を進める。2010年12月号の医学誌BMJでは、唯一MRを資格化しているフランスと、カナダ、米国のMRのプロモーションと医師との関係を検討した論文が掲載されている。フランスでは、米国・カナダと比べて、サンプルの提供や昼食などの接待を受ける回数が少ない。一方で、処方に必要な情報である医薬品の有害事象についての情報提供を受ける回数は多い。

同論文では、医師がMRから受け取った情報のうち、57%が「劣か非常に劣」で、「優」とするのは2%にとどまっているとのデータも紹介。心血管イベントの増加が指摘された2型糖尿病治療薬・ロシグリタゾンなどを例にあげ、重点的に販促が行われた製品が安全性の理由から市場撤退していることも指摘している。

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