小野薬品は11月６日、2018年3月期（17年度）第２四半期（４～９月）決算を発表し、17年２月に緊急的に薬価を50％引き下げられた抗PD-1抗体オプジーボは前年同期より売上を23.8％減らし、その影響が大きく製品商品売上高は974億円、前年同期より9.3％減となった。オプジーボの通期売上予想は、胃がん（3rdライン）適応の追加などにより当初と比べ100億円引き上げ840億円に修正し、前年度実績と比べ19.2％減と減収幅を抑えた。通期の製品商品売上は5.3%減の2030億円と見込んだ。

製品商品売上高では、関節リウマチ治療薬オレンシアが24.7％増、SGLT2阻害薬フォシーガが47.6%増と新薬群が売上を伸ばしたものの、長期収載品の二桁減収、オプジーボの減収の影響を吸収できなかった。オプジーボについては、通期で予想を100億円引き上げ、60億円分は胃がんの適応追加、40億円分は頭頚部がんの市場拡大によるものだという。17年２月に非小細胞肺がんの適応症でMSDから発売されたキイトルーダの影響について相良暁社長は「厳しいが、予想の範囲内」で推移しているとして、非小細胞肺がん領域の売上予想は当初の470億円を据え置いたと明かした。

相良社長　オプジーボの再算定論議「大変影響大きく、注視」

同社はオプジーボの薬価50％引き下げの影響を適応追加により緩和していく方針だが、ここにきて中医協で「用法・用量変化再算定の見直し」が議題に上り、資料ではオプジーボが取り上げられている。その点について相良社長は「大変影響が大きいことであり、状況を注視している。年末にかけて議論が煮詰まっていくであろうが、なかなか予想がつきづらくなかなか悩ましく感じている」と話した。薬価制度改革論議に触れ「イノベーションをどう評価するのか、具体的に設定していただきたい。経営的に予見性が担保されるようにしていただきたい。HTAも含めて」と述べた。

連結業績は3.2％増収　ロイヤルティ収入寄与　オプジーボの適応追加開発に積極投資

連結売上高は、製品商品売上は減らしたが、オプジーボのロイヤルティ収入などの営業収益を前年同期より137億円増やしたことが大きく寄与し、売上高は1214億4600万円、3.2%増となった。利益面では、オプジーボの適応追加開発などの費用などがかさみ、営業利益は267億8900万円、11.1％減だった。

通期は、当初予想よりオプジーボ売上100億円増、フォシーガ売上10億円増、ロイヤルティなどの営業収益70億円増の計180億円を上方修正し、売上予想は2540億円、3.8％増。営業利益予想も当初より135億円引き上げ500億円に修正したが、30.8％減を見込む。通期予想では、売上に含まれるロイヤルティ収入などの営業収益が510億円に上り、営業利益を上回る格好となるが、相良社長はロイヤルティ収入が見込める間にオプジーボの適応追加に積極投資し、開発を加速させる考えを示した。

【17年度中間期の連結業績（前年同期比）　17年度予想（前年同期比）】