FDAのGottlieb長官 オピオイド乱用対策強化に意欲
公開日時 2017/06/23 03:50
米食品医薬品局(FDA)のScott Gottlieb長官は6月13日、社会問題化している医療用オピオイド乱用について乱用防止対策の強化を進めるとする声明を発表した。法規制も含めて検討する委員会を新たに設置する考えを示した。対策の実効性を重視し、新規の中毒例を減少させる目的で行う手段(方法)の評価を重視する考え。
オピオイド乱用について、FDAは公衆衛生対策のなかでも力点を置いているが、長官自らが就任早々その対策強化を訴えるのは、それだけ事態が深刻化していることを浮き彫りにするものといえる。
Gottlieb長官は、製薬企業は乱用防止装置付き薬剤開発に力を入れており、一定の効果が出始めている。「FDAは一体となって乱用蔓延の防止についてあらゆる側面から取り組んでいる」と述べた。ただ一方で、乱用を解消するにはほど遠い状況であると指摘し、「法規制を追加する必要があるのか、この危機に対してとることが出来る政策的行動の必要があるのかを検討する委員会を新設する」ことを明らかにした。
さらに7月10、11日の両日に有識者を集め、公開討論会を開催することも明らかにした。討論会では、乱用防止製剤がオピオイドの乱用防止に実際に役立っているか、乱用防止を呼び掛ける情報が消費者に正しく伝わっているかなど幅広く意見を聞くとともに、具体的な対策などについても検討する。
Gottlieb長官は、乱用者は乱用防止薬剤でも錠剤を崩壊するなどして、吸入あるいは注射によって服用していると指摘。乱用防止製剤が現実に誤用・乱用の頻度への影響についての認識が関係者間でギャップがあるとした。
ギャップを埋めるために、FDAは乱用防止製剤承認後、当該企業に問題解決に役立つデータを収集できるような方法での市販後試験の実施を求めている。同長官は、「このような試験の実施は難しいが、我々は最高の規制上の決定ができるような信頼できるデータを必要としている」と製薬企業の協力に期待感を示した。さらに、同長官は、「乱用防止装置付き薬剤の評価をどう最適化するかを把握するためには科学的情報を必要としていることだけは明らかなことだ」と述べ、公開討論会に期待を寄せた。