【World Topics】米国医師会とヘルス・イノベーション
公開日時 2017/04/10 03:50
ほとんどの医療情報システムはまだ多忙な医師のニーズに応えきれていない。 2月21日HIMSS2017での米国医師会CMIO(Chief Medical Information Officer)のMichael Hodgkinsの発言である。
Hodgkinsは米国医師会が実施した医師の意識調査結果にもとづき、医師は通常の医療業務に加えて、EHR対応などのデスクワークに月間平均38時間もの時間外労働を強いられているとし、医師の視点からは現状のシステムにはまだ不満が多いと述べた。
また、すでに20万を超えるといわれている、いわゆる医師向け・消費者向けの医療関連ポータルやプラットフォームについては、市販されているアプリなどの大半は「医学的あるいは科学的検証が足りない」とし、「(手放しで歓迎するには)時期尚早」と述べた。
Hodgkinsは、精度が問題とされて販売中止になった血圧測定のモバイルアプリの例を引き、これらのサービスが医学的見地から求められるだけの水準に達していないことの危険性をあらためて指摘し、最大の問題はプロダクツやサービスの構築に医師が関わっていないことだと述べた。
医師会は、近年、医師のテクノロジー教育に優先的に力を入れてきており、医師自身によるイノベーションの推進を積極的に後押ししている、実際には、たとえば医学生によって運営されているインキュベーターのMATTER やSling Healthなどを支援し、 あるいは医師とプログラマーさらにはゲーム界を積極的にむすびつけようと活動しているイノベーション・シンクタンクのHealth2047などへの支援にも力を入れてきている。さらに「まだ企画段階」としながら、米国医師会独自の”Physician Innovation Network”をスタートさせる計画を明らかにした。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
https://innovationmatch.ama-assn.org/