久光製薬 疼痛領域にリソース集中、経口薬導入も 他領域は導出も検討
公開日時 2017/04/10 03:52
久光製薬は4月7日、2017年度~21年度まで5か年の新中期経営計画を発表し、国内医療用医薬品事業は疼痛領域にリソースを集中する方針を示した。泌尿器や婦人科領域でも貼付剤を投入しているが、特に整形外科やペインクリニックにおける疼痛領域で存在感を発揮しているため、この強みを生かす。疼痛領域の製品ラインナップの強化に向け、得意の貼付剤の開発を進めるほか、経口剤や注射剤の導入活動も強化する。疼痛領域以外の製品や開発品は導出も検討していく。
新中計では、薬価の毎年改定も前提条件にいれた。新中計で最終年度となる21年度の国内医療用薬事業の売上計画は開示していない。ただ、特許切れしている最主力品の外用消炎鎮痛薬モーラステープの減収は続く見込みのため、同社は、国内医療用薬事業は右肩下がりに推移するとしている。
数値目標は21年度に売上1700億円(16年度実績1459億円、5年年平均成長率3.1%)、営業利益340億円(263億円、5.3%)――を目指す。医薬事業(国内外)の売上構成は大きく変化し、16年度は医療用医薬品売上と一般用医薬品売上が7対3の割合だったが、これが21年度には約50%ずつになる。一般用医薬品の活動に一層注力することと、国内医療用薬の縮小が背景にある。
■国内MR数は減員の方向
同社企業戦略室の綾部剛室長は同日に開いた新中計の説明会で、「チャレンジングな数字と認識している。事業内容を大きく見直していく」とし、「例えば営業については、このままの営業体制でこの数字を追うかと言えば、見直しを行う」「事業構造全体を見直し、(削減する)固定費から、より戦略的な投資に回していく」と述べた。
国内MRのリストラを行うのかとの質問に対しては、新中計では国内一般用医薬品事業や海外事業を伸ばす方針と説明した上で、「数名の国内MRはすでに海外事業に移籍し、活動を開始している」と話し、成長を目指す事業への異動は進める考えを示した。
新中計では、減収見込みの国内医療用薬事業でも、「事業構造を変革し、生産性の向上(1人当たり売上高の増加)を実現する」としている。綾部室長の説明も含めて類推すると、国内MRは減員となる可能性が高そうだ。
国内開発パイプラインは、17年度に経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬「HP-3060」(開発コード)の承認取得を見込む。18年度にパーキンソン病に用いる貼付剤「HP-3000」(開発コード、一般名:ロピニロール塩酸塩)の申請を目指す。HP-3000は、かぶれなどの皮膚刺激の大幅低減が特長のひとつという。ただ、HP-3060、HP-3000とも導出を含め検討していく。
20年度にはがん疼痛を対象疾患にする「HP-3150」を申請予定、21年度には同じく「HP-3150」で腰痛症を対象疾患に申請予定としている。
■16年度業績 国内医療用薬事業は12.6%減
同社は同日に17年2月期(16年度)決算を発表し、国内医療用薬事業を指す医薬事業部の売上は758億5400万円、前期比12.6%減だった。国内医療用薬売上の7割近くを占める最主力品のケトプロフェン含有経皮吸収鎮痛消炎薬モーラステープが18%の減収となったことが大きく影響した。フェンタニルクエン酸塩含有の経皮吸収型持続性疼痛用薬フェントステープなどの新薬群も振るわず、17年2月期の売上は計89億7200万円、前期比4.2%減だった。
【16年度連結業績(前年度比) 17年度予想】
売上高 1459億2500万円(9.8%減) 1470億円
営業利益 263億600万円(5.1%減) 241億円
親会社帰属純利益 203億9500万円(14.7%増) 185億円
【主要製品の16年度国内売上(前年度実績) 17年度予想、億円】
モーラステープ群 526.05(643.98) 497
モーラスパップ群 76.83(60.19) 99
うち、モーラスパップXR 40.04(6.73) 69
フェントステープ 53.15(59.78) 49
ノルスパンテープ 22.17(22.29) 24
ネオキシテープ 12.34(9.66) 12
アブストラル舌下錠 2.04(1.94) 2