【World Topics】オバマケア廃案の収支 米国議会予算局試算
公開日時 2017/03/15 03:50
米国議会予算局(Congressional Budget Office)は3月13日、下院再入院会に対し、オバマケア(いわゆるAffordable Care Act)が廃案とされ、下院が審議中の新法(Amrican Health Care Act)が採択・施行された場合の、収支及びその他の影響についての予測を発表した。
Congressional Budget Office Cost Estimate, March13, 2017
https://www.cbo.gov/sites/default/files/115th-congress-2017-2018/costestimate/americanhealthcareact_0.pdf
米国議会予算局予測によれば、Amrican Health Care Actの施行により連邦政府の赤字を2017~26年の10年間で3170億ドル(予算上で3230億ドルを、予算外で130億ドル)を削減することができる見込みだという。
大幅な削減は、オバマケアで拡大されたメディケイド給付枠が縮小されること、および低所得層に対する医療保険購入補助金の停止によるものである。
だが、全国紙からテレビまで全米のあらゆるメディアが一斉に反応したのは、予算局がはじき出した経済収支の見通しに対してではなく、オバマケア撤廃によって急増すると予測された無保険者に対して、であった。
予算局の試算によれば、Amrican Health Care Actが施行されれば 無保険者数は年々増加。オバマケア下と比べ、18年には1400万人。20年には2100万人増、26年には2400万人増の見込みであるという。
無保険者増加の原因としては、当初は「医療保険購入義務」違反のペナルティを払うことを回避するためだけに保険に加入していた層が、保険加入をやめて 無保険状態に戻ることも考えうるが、実際には、現行のメディケイド給付枠の拡大の恩恵 および医療保険購入への連邦補助金の恩恵に浴している層がそれらの支援を失って保険購入ができなくなるためだ。(医療ジャーナリスト 西村由美子)