協和キリン・16年通期決算 国内医薬は1%減収 薬価改定と長期品のGE影響で
公開日時 2017/02/01 03:49
協和発酵キリンが1月31日に発表した2016年12月期(1~12月)決算で、日本の医薬事業(医薬セグメント)は、新製品の売上は伸びたものの、薬価改定や後発医薬品(GE)の浸透による長期収載品への影響が大きく、売上高は2028億円、前年同期比1%減だった。
国内では、持続型G-CSF製剤ジーラスタ、パーキンソン病治療薬ノウリアスト、DPP-4阻害薬オングリザ、乾癬治療薬ドボベットといった新製品の売上はいずれも2桁増の伸長を見せた。しかし、同社で最も売上が多い、持続型赤血球造血刺激因子製剤ネスプは、14年12月に取得した骨髄異形成症候群に伴う貧血の追加適応という拡大要因はある一方で、薬価改定で汎用規格が7.6%の薬価引き下げを受けたことで2%減。さらに、抗アレルギー薬アレロックなど長期収載品がGEによる浸食を受けて売上を減らし、減収につながった。
海外事業を含む医薬事業は、技術料収入の減少、海外販社での減収も影響し、売上高は2632億円、前期比6%減。営業利益は研究開発費の増加もあり263億円、27%減で、減収・営業減益だった。同事業の17年通期は売上高2640億円、営業利益290億円の微増収、営業増益を見込む。バイオケミカルを含む事業全体では、為替の円高影響も加わり減収減益だった。
新子会社「協和キリンフロンティア」設立 ネスプのAG展開で
協和発酵キリンは1月31日、新会社「協和キリンフロンティア」を設立し、持続型赤血球造血刺激因子製剤ネスプのオーソライズドジェネリック(AG)を事業展開すると発表した。現在500億円以上の売上があり、2019年に物質特許が満了するネスプの資源を、特許切れ後も活かすことにした。
同社は完全子会社。まずはネスプAGの承認取得に向けて取り組むが、経営戦略など今後の事業方針は未定で、同社がネスプAGの販売を行うか否かの検討もこれからだという。また、他の製品のAGに取り組むか否かも決まっていないとしている。新会社は1月18日に資本金1億円で設立され、協和発酵キリンの執行役員経営企画部長の村田渉氏が社長を兼務。現在の従業員は10数人規模という。
【連結実績(前年同期比) 17年通期予想】
売上高 3430億1900万円( 5.8%減) 3440億円( 0.3%増)
営業利益 316億3800万円(27.7%減) 350億円(10.6%増)
経常利益 263億9700万円(32.7%減) 300億円(13.6%増)
当期純利益 186億6900万円(37.3%減) 190億円( 1.8%像)
【主要製品売上(前年同期実績) 17年通期予想、億円】
ネスプ 563(575)572
エスポー 15( 19) 11
レグパラ 199(182)178
ロカルトロール 42(51)36
オングリザ 62( 48) 77
コニール 75(100) 63
ジーラスタ 155(103)178
グラン 41( 59) 30
フェントス 62( 61) 61
ポテリジオ 19( 19) 17
ロミプレート33( 30) 29
アレロック 181(221)141
パタノール 129(128)121
アサコール 47( 61) 40
ドボベット 54( 47) 48
ノウリアスト72( 53) 87
デパケン 73( 87) 66
ナウゼリン 31( 35) 25
技術料収入 59(119) 74