米ファイザー社 分社計画の撤回を発表
公開日時 2016/10/03 03:50
米ファイザー社は9月26日、新薬事業部門であるInnovative Healthとジェネリック/エスタブリシュ医薬品事業部門であるEssential Healthの2部門について2つの独立した上場会社として分社しない方針を明らかにした。
今回の発表は、同社は新薬部門とジェネリック部門を分社化する計画を検討していたが、その計画を撤回。社内で2事業部門を維持しながら株主価値の最大化を目指すことになる。大きな戦略変更といえる。
同社のIan Read 会長兼CEOは、「この決定により、我々の2つの事業部門はファイザー社内で管理される別々の事業部門として残る。我々は、これが現段階で、患者、医師、支払者および政府に対する我々の取り組みを示し、株主に対しては価値を向上させ続ける最善の構造であると信じる」と話した。
ファイザー社は、Innovative Health部門、Essential Health部門ともに過去3年間対前年同期比で堅調な業績を上げ、2016年上半期の業績も好調で、両部門が部門として独立して運営できる能力を持っていることを示したとしている。
同社のFrank D’Amelio業務担当上級副社長兼CFO(最高財務責任者)は、分社化してもキャッシュフローも競争力も生まず、分社化の経費がかかり、節税効果も期待できなく、株主価値を下げるので分社化を撤回したとその理由を示した。
ファイザーの今回の決定について、米医薬専門誌「Fierce Pharma」によると、投資銀行Sanford Bernsteinのアナリスト、Tim Anderson氏は、「ファイザー社が以前のようなM&Aに依存し、パイプラインを補充する企業に戻るのではないかとの議論が行われるようになるだろう。だが、M&A費が高くなると、(ファイザー社が)追いかける企業の規模次第になるのでないか」と話している。
米ロイター通信によると、米投資顧問会社E Squared Asset Management社のポートフォリオマネジャーのLes Funtieyder氏は、「私は今回の分社化の背後に必然性をみなかった。抗がん剤などの分野での製品買収あるいは開発が同社成長のカギになる」との見方を示し、「ファイザーにとっては容易な10億―100億ドルの範囲で行うとみる」と話している。
アナリストらは、同社が米Medivation社を買収、前立腺がん治療薬Xtandi(エンザルタミド)を獲得、抗がん剤ポートフォリオを補完、業績に貢献していることなどから、ファイザーには早くも次の買収に期待感を示しているようだ。