参天製薬 緑内障治療用デバイス開発の米InnFocus社買収 緑内障領域を強化
公開日時 2016/08/23 03:51
参天製薬は8月22日、緑内障治療用のデバイス「MicroShunt」を開発する米バイオベンチャー・InnFocus社(本社:米国フロリダ州マイアミ)の買収手続きを19日付(米国時間)に完了したと発表した。買収額は2億2500万ドル。参天は販売する多種類の緑内障治療薬に、新規デバイスをパイプラインに加えることで、治療の選択肢を広げ、成長が見込まれる緑内障市場でのプレゼンス向上につなげたい考え。
「MicroShunt」は、房水の出口に目詰まりが生じ眼圧を高める原発開放隅角緑内障に対し、睫毛の2倍程度のマイクロチューブを用い房水排出路を形成する。免疫反応が起こりにくい生体不活性素材を使った、インプラント手術の新たなデバイスで、施術は15分程度で済むという。同デバイスは米国での承認に向け開発が進められ、2020~21年の上市を見込む。日本での開発は未定だという。
緑内障は視神経の障害により、徐々に視野が狭くなっていく疾患で、眼圧上昇が主な原因とされ、治療には眼圧を下げるための薬剤や手術が用いられる。角膜を切開し、房水を外に出す「線維柱帯切除術」は、侵襲性が高いうえ、術後管理に時間がかかるといわれる。それに対し今回のデバイスは、より広い患者に適応し、低侵襲で術後管理のしやすさが期待される。
緑内障患者は、日本を含め世界で増加傾向にあり、同社の資料によると、2015年には8040万人(原発開放隅角緑内障:5300万人)、2020年には9060万人(同:5990万人)と予想されている。