大日本住友・多田社長 MR数「過剰になっている」 プライマリ担当順次縮小 がん・CNS担当へシフト
公開日時 2016/08/04 03:52
大日本住友製薬の多田正世社長は8月3日、都内で行った記者会見で、同社の国内MR数について「だんだん過剰な体制になっていることは事実」との認識を示し、プライマリケア担当を順次縮小し、がん・CNS領域へシフトさせる方針を明らかにした。数年内には主力品で国内売上の2割弱を占める高血圧治療薬アバプロと同剤配合のアイミクスに後発医薬品(GE)の登場が予想されることや、17年度には新規抗がん剤が上市見込みであることを踏まえたもの。「最終的にどの程度の人数にするかは検討中」と述べるにとどめたが、がん・CNS担当MRの数はプライマリ担当ほどは要しないことから、現在の1300人体制は漸減させていくものとみられる。
同社の現在のMR数は1300人。うちCNSの担当は320人で、多くはプライマリ領域を担当する形。多田社長は5月の会見で、国内売上高が減っていく中で「国内MR数の適正な数について本格的に検討している」と発言していた。
3日の会見では国内営業体制について「今後フォーカスを当てるとすれば、CNSとがん、そしていずれは再生医療。現在のプライマリケア中心の販売体制は相当、構造改革的に変えていかざるを得ない」とし、「一挙にゼロということは当然ないが、順次体制を変えていくという考え方で進めていく」と話した。
がんMR育成本格化 社内公募に約900人
一方で、がん担当MRの育成を本格化させていることを明らかにした。2017年度に、国際戦略品で、がん幹細胞に作用する新規抗がん剤ナパブカシン(開発コード「BBI608」)が、胃がん等の適応で国内上市を計画しているためで、社内公募方式で数年かけて育成を進めているといい、900人近いMRが志願したと明かした。今後絞り込みを進めるとしており、数百人程度が実際の担当に就くとみられる。
CNS領域では、2018年度にパーキンソン病治療薬トレリーフへの「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム」の適応追加、19年度には統合失調症治療薬ロナセンの経皮吸収製剤の剤型追加、20年度以降には新規抗精神病薬ルラシドン(海外名:ラツーダ)の上市を計画する。それらのパイプラインの進捗を踏まえ多田社長はがん・CNS領域の販売体制を増強するとした。
なお、同社の2016年度第1四半期(4~6月)業績では、4月の薬価改定の影響で国内製品売上高は360億円で5.6%減だった。