米FDA 次世代ゲノムシークエンスベースの診断薬ガイダンス案を発表
公開日時 2016/07/15 03:50
米食品医薬品局(FDA)は7月6日、米政府が今年2月に明らかにしたPrecision Medicine Initiative(個別化医療イニシアチブ)の一環である、次世代ゲノムシークエンス(NGS)を基盤とした体外診断薬(法)に関する2本の開発ガイダンス案を発表した。
FDAは、NGSを疾患のリスクの有無や治療法を選択する場合の患者における多数のゲノム変異などを一度で探索できるために、無駄のない適切な治療の推進や医療費節減に向けての大きな力になると位置づけ、その推進を図っている。そのようなことを背景に、PMIの提言も受け、今回、開発ガイダンス案をまとめた。
一つ目のガイダンス案は、「Use of Standards in FDA’s Regulatory Oversight of Next Genome Sequencing(NGS)-Based In Vitro Diagnostics(IVDs) Used for Diagnosing Germline Diseases」(生殖細胞系疾患診断に用いられる次世代ゲノムシークエンシングを基盤とする体外診断薬に関するFDAによる規制・管理基準の活用について)と呼ばれる。同ガイダンス案は、遺伝性希少疾患の診断を目的としたNGSを基盤とする診断薬の設計、開発、検証についての推奨事項を指針として記述した。
二つ目のガイダンス案は、「Use of Public Human Genetic Variant Databases to Support Clinical Validity for Next Generation Sequencing(NGS)-Based In Vitro Diagnostics」(次世代ゲノムシークエンシングを基盤とする体外診断薬に関する臨床的バリディティを裏付けるための公開ヒト遺伝子変異データベースの活用について)と呼ばれる。同ガイダンス案では、診断薬の開発者が診断薬の臨床適応を標榜する場合や承認への道を開くゲノム検査結果について正確な臨床上の解釈を得る目的で、FDA承認の公開データベースから臨床エビデンスを活用する場合の方法などを記述した。
FDAのRobert Califf長官は、「適切な患者に適切な時期に適切な治療を提供することを目指すことがPMIのゴールだ」とした。その上で、「もうすぐ、患者は自分の遺伝子やゲノム組成を知らされることによって、いままでよりも健康状態についてよく分かるようになる」と話した。
国立衛生研究所(NIH)のFrancis Colllins所長は、「このガイダンス案は、NGSをベースとした検査の発展の大きな歩みになる」と述べたうえで、「NIHは、これらガイダンスの価値は大きく、診断薬の開発者に対して、患者が高品質の診断薬を利用できるようにガイダンスで示された実践規範を採用するよう促したい」とコメントした。