イスラエルTeva社 PhRMA加入を希望:米紙報道
公開日時 2016/07/08 03:50
ジェネリック医薬品売上世界No.1のイスラエルTeva Pharmaceutical Industries社が、今年1月に米国研究製薬工業協会(PhRMA)に加入の申請を行っていたことが分かった。米紙「New York Times」7月1日号が報じた。 いうまでもなく、PhRMAは、イノベーションを目指した研究開発指向型製薬企業の団体であるが、ジェネリック企業としてのTevaがPhRMAに加入できるかは業界で大きく注目されている。
Teva社が入会することについて、当然ながら、PhRMAメンバーのなかには、新薬(ブランド品)の特許係争をめぐり、裁判で対立した企業も多いだけに異論もある。また、イノベーション指向型企業の団体という意味が希薄になるとの意見もある。
しかし、識者のなかには、ブランド品とジェネリックの境界が曖昧になっていると指摘する向きもある。Teva社は、ジェネリック主体ではあるが、多発性硬化症治療薬Copaxanは新薬であり、米国では新薬事業で60億ドル以上を売り上げている。また、スイス・ノバルティス社は、ジェネリック医薬品事業部門のSandoz社を持っており、米ファイザー社は、ジェネリック子会社Greenstone社を持ち、昨年は注射薬ジェネリック大手のHospira社を買収し、ジェネリック事業を強化している。単純に新薬事業のみ、ジェネリック事業のみと企業を分類できなくなっているのが実態だ。
PhRMA、Teva社両サイドの損得勘定を見ると、Teva社がPhRMAに加入すると同社にとっては、米議会に強い影響力を持つ同協会のリソースと「看板」を活用できる旨みを獲得できる。政治的に動く場合のメリットは大きい。
一方、PhRMAにとっては、Teva社が加入すると数百万ドルという会費が入るという面がある。さらに、Teva社が加入しているということで、高薬価問題で批判されている現状を逆転させる可能性を持つ。つまり、Teva社は常に消費者が入手しやすい医薬品の必要性を強調していたので、そういう企業もメンバーだということで、PhRMAのロビイストが活動する場合に信頼性を向上させることが出来るとの見方がある。
PhRMAは、Teva社の加入について今月末に会合を開催、決定を下す予定と見られている。米国の業界通は、加入が承認されると見ているようだ。