大日本住友・小田切営業本部長 「営業所長の意識改革に取り組む」 今夏から着手 地域営業強化で
公開日時 2016/06/09 03:52
大日本住友製薬の小田切斉常務執行役員営業本部長は、ミクス編集部の取材に応じ、4月の組織変更で「地域密着型の営業体制の強化を図る」として支店に戦略立案機能を持たせたことに続き、今夏から「営業所長の意識改革に取り組む」と表明した。本社や支店の指示を受けて、売上を管理するだけでなく、戦略に基づき地域の特性に合わせた営業展開と、遂行するためのMRを指導できる能力の向上を図る。それにより、支店が立案した戦略・戦術を地域ごとのよりきめ細かい営業につなげたい考えだ。
小田切氏は4月1日に、執行役員人事部長兼キャリア開発担当から現職に異動し、就任後初のインタビューとなった。同社は4月1日の組織変更で営業体制を見直し、東日本と西日本にあった地域本部を廃止するとともに、20あった支店を15に再編、営業本部直轄に改めた。組織の階層を減らすことで、本社の意思決定を迅速に指示できるようにする一方、支店に戦略立案機能をもたせ、変化する地域医療に柔軟に対応できる体制にした。
小田切氏は、新体制の狙いを「高効率の営業体制を築く第一歩」であり「(地域ごとに)よりきめ細かい(営業)展開」のためと説明。支店長の戦略立案と遂行をサポートするため、組織変更前は地域本部内で市場分析などマーケティングを行っていたエリア・マーケティング・コーディネーター(AMC)を各支店に配置した。
支店長の権限強化による具体的な展開は、現在の課題としながらも、キーマンは「支店長だけでなく、営業所長もだ」と強調。「今までは本社の指示で動くようなとこが見受けられた。これからは、自分たちが、地域の状況を見て、判断して動ける組織であることを望んでいる」と指摘し、指示を伝えて売上を管理するだけでなく、施策の優先順位など地域の個別事情にまで落とし込んで、プランニングし、個々のMRを効率、効果的に指導できる所長へと意識改革が必要だとした。それにより、最前線のMRの活動を変えていく考えだ。
そのため、「この夏以降、所長を対象にした研修や面談を活かして、所長それぞれの能力などを深く把握していきたいと考えている。所長の意識を変えていくことは、会社の成長にとっても非常に大きいと思っている」と述べ、所長の意識改革に強い意欲を示した。
同社は、一般営業所を21減らして125拠点に、精神営業所を2減らして27拠点に再編した。その点については「国内市場が厳しくなった今、たくさんの営業所長を置く理由はみつからない」とし、「約150人の優秀な所長をいかに輩出することができるか」が課題とした。地域包括ケアに向けた営業体制は模索中だとして「AMCを中心に地域の動きについての情報収集がまず必要と思う」と述べるにとどまった。また、流通政策も当面は本社主導で行う。
業界でも積極的に展開しているマルチチャネルディテールについては、効果検証の難しさを指摘しつつも、ICTの加速もあり「立ち止まると一気に追随されてしまう。展開し続けながら、あるべき姿を追求するという難しい作業が必要になる。これからも高い評価が得られるよう継続したい」と話した。