アルフレッサHD 地域包括ケアにらみ営業改革 「Solution MS」配置 介護領域もカバー 新中計で
公開日時 2016/05/13 03:51
アルフレッサホールディングス(HD)の久保泰三社長は5月12日、都内の本社内で、2016年度~18年度までの中期経営計画について説明し、地域包括ケアをにらんだ営業改革を行うと表明した。地域包括ケアは、個々の医療施設だけでなく、各施設の連携に加え、対応が手薄な訪問看護ステーション、介護施設などを含む形で構築され、同社として対応が必要と判断。日頃のMS活動で蓄積した地域情報などで医療と介護の連携支援などに活かしていくほか、「Solution MS」(仮称)を新たに配置し、多様なニーズに対応する。地域の接点を拡大することで商機を発掘する取り組みとみられる。
新中計は11日に発表した。その中で医療用医薬品等卸売事業の計画には、「変化に先駆けた収益構造の強化」を掲げ、その一つに営業改革を位置付けた。久保社長は、医療行政の変化に伴い顧客、患者の行動が変化していく中で「自らの事業モデルを大きく変革させることが大きなテーマである」と強調した。
今後の地域医療を見据えると、主要顧客の医療施設のみならず、地域包括ケアを担う介護施設、訪問看護ステーション、グループホームなどにも営業できる体制が必要と指摘。同社グループで持つ在宅医療に取り組む施設のデータベースに加え、日頃のMS活動で収集した最新の地域情報を提供するなどで地域包括ケア構築を支援し、存在感を出したい考え。
その中で「Solution MS」については、得意先の拡大で多様化するニーズに基づき、介護領域を含め「積極的に提案型営業を実践」する役割を想定し、まずは一部で試験的に導入する。人員規模は、地域ごとに進展の程度等に見ながら今後詰める。
これら活動に伴う収益貢献について久保社長は「確実に見えているわけではない」としたが、「まずは情報を制しないと(事業機会が)減少していく可能性がある」と述べ、まずは地域の実態とニーズを捉える情報をもって地域包括ケアに対し情報でサポートしていく姿勢を示した。
最終年度の目標(連結)は以下のとおり。
売上高 2兆7000億円(15年度実績2兆5764億円)
営業利益率 1.5%以上(同1.76%)
当期純利益率 1.2%以上(同1.36%)
自己資本当期純利益率(ROE)8%水準
アルフレッサHD・15年度業績 医療用薬卸事業3.9%増収
アルフレッサHDが5月11日に発表した2016年3月期(15年度)決算では、医療用薬卸事業は、消費税率引き上げ後の需要減の影響が落ち着いたことに加え、新規抗ウイルス薬、抗がん剤、インフルエンザワクチンの拡大などで売上高は2兆2907億8300万円の3.9%増、営業利益は409億9700万円の49.2%増だった。
【15年度連結業績(前年同期比)16年度予想(前年同期比)】
売上高 2兆5764億0500万円( 6.4%増)2兆6230億円( 1.8%増)
営業利益 452億8900万円( 54.9%増) 379億円(16.3%減)
純利益 349億7500万円( 52.6%増) 303億円(13.4%減)