米FDA 抗がん剤Xalkori、NSCLCの稀少タイプ適応追加承認
公開日時 2016/03/17 03:50
米食品医薬品局(FDA)は3月11日、米Pfizer社の抗がん剤(キナーゼ阻害剤)Xalkori(クリゾチニブ)について、非小細胞肺がん(NSCLC)の稀少タイプであるROS-1遺伝子変異陽性の患者に対する治療薬としての適応追加を承認した。同剤は、ROS-1遺伝子変異陽性NSCLCを対象とした初めてのFDA承認薬剤となった。Xalkoriの適応追加は、ROS-1遺伝子変異陽性の進行(転移性)NSCLCである。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「NSCLCの治療は、患者が異なった遺伝子変異を持っているため、時には稀な変異を持っているために、一部分では難しい」と指摘したうえで、「Xalkoriの適応追加は、ROS-1遺伝子変異陽性NSCLCを治療するのは難しく稀ながん種なので価値ある治療選択肢を提供することになる。この薬剤は、専門医にROS-1遺伝子化学を標的とした個別化医療を与えるものだ」と同剤の登場を歓迎した。
Xalkoriは、経口剤でROS-1遺伝子変異のある腫瘍のROS-1タンパクの活性を阻害し、腫瘍の成長・転移を抑制する。
米国では、肺がんは、がん関連死では死因のトップとなっている。米国がん研究センター(NCI)の推定では、2015年には22万1200人が新たに肺がんと診断され、15万8040人が肺がんで死亡したとみられる。ROS-1遺伝子変異は各種がんで同定されており、肺がんでは約1%の患者にみられるとされる。ROS-1遺伝子変異陽性のNSCLC患者および疾患の特徴はALK遺伝子変異陽性のNSCLCと類似している。Xalkoriは、2011年にALK遺伝子陽性の転移NSCLCの治療薬として承認されている。
Pfizer社のMace Rothenberg上級副社長(臨床開発・医事担当)兼Pfizer Oncology最高医学責任者(CMO)は、「本日のXalkoriのROS-1遺伝子変異陽性NSCLCに対する適応の承認は、従来、治療選択肢が限られていた患者に対して重要なマイルストーンを示すものである」と述べたうえで、「転移性NSCLCにおける2つの特徴ある分子標的であるROS-1とALKを組み込んだ唯一のFDA承認バイオマーカーを活用する治療薬なので、Xalkoriは、Pfizer社が個別化医薬品の開発と適正な患者に適正な治療を提供することに取り組んでいる証拠である」と話した。