HTA C型肝炎治療薬・ソバルディ、ハーボニー配合錠、抗がん剤・オプジーボ、カドサイラが対象か
公開日時 2016/01/21 03:53
中医協薬価専門部会は1月20日開かれ、2016年4月から試行的導入される費用対効果評価(HTA)について選定基準が示された。類似薬効比較方式で算定され補正加算の加算率が最も高い、原価計算方式で営業利益利率の加算率が最も高い、などがあげられた。具体的な品目は4月以降に示されることになるが、条件を勘案すると、類似薬効比較方式で補正加算率100%を獲得したC型肝炎治療薬・ソバルディや、類似品に当たるハーボニー配合錠(いずれもギリアド・サイエンシズ)、抗がん剤・オプジーボ(小野薬品/ブリストル・マイヤーズ)、カドサイラ(中外製薬)が該当する可能性がある。
費用対効果評価のデータが義務付けられる対象品目は、まずは2012~15年度までに保険適用された既収載品を中心に選定されることになる。具体的には、類似薬効比較方式で▽補正加算の加算率が最も高い品目、▽補正加算が10%以上で、ピーク時予想売上高が最も高いこととした。原価計算方式で算定された医薬品では、▽営業利益率の加算率が最も高い、▽補正加算10%以上が認められ、ピーク時予想売上高が最も高いー品目とした。
新規収載品は、▽類似薬効比較方式で10%以上の補正加算、▽原価計算方式で10%以上の営業利益率の加算——を希望し、別に定めるピーク時予測売上高以上の製品とした。なお、既収載品、新規収載品ともに▽治療方法が十分に存在しない希少な疾患(指定難病、血友病、HIV感染症など)に対する治療にのみ用いる、▽医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議などでの検討結果を踏まえ、厚労省が開発要請、または公募に応じて開発された――医薬品は除外する。薬理作用類似薬及び同一機能区分に該当する医療機器を対象とすることから、医薬品も“4品目プラスα”が対象になる可能性がある
◎ソバルディは補正加算100% オプジーボは営業利益率加算率60%を取得
こうした条件を勘案すると、類似薬効比較方式で最も補正加算の加算率が高い品目としては、初の画期性加算を取得し、100%の加算率となったソバルディが該当する可能性が高い。同様に補正加算率10%以上でピーク時売上高が最大となる品目も、ピーク時売上高987億円を見込むソバルディが該当する可能性が高い。ハーボニー配合錠は加算を取得しておらず、この要件には該当しないが、「薬理作用類似薬及び同一機能区分に該当する医療機器を対象とする」とされたことから、ソバルディの類似品に該当し、費用対効果評価の対象品目となる可能性がある。
原価計算方式では、営業利益率が最も高い品目として、営業利益率(20%)の加算率60%を取得したオプジーボが該当する可能性が高い。10%以上の加算が認められピーク時予想売上高が最も高い品目としては、ピーク時売上高170億円を見込むカドサイラが該当するとみられる。これらの薬剤には類似品がないとみられる。
一方で、新規収載品については「既収載品の選定基準と同程度の水準以上」であることとされており、実質的には現時点で該当する品目はないとみられている。
◎費用対効果評価 再算定後の価格調整に活用
費用対効果評価のデータ提出が義務付けられる医薬品については、質調整生存年(QALY)など費用対効果評価のデータを製薬企業側が提出。省内に設置される専門体制での再分析を経て、費用対効果評価専門組織(仮称)が分析結果に基づいた総合的評価(アプレイザル)を行い、費用対効果評価が良いか悪いか判断することになる。この結果やデータは、薬価算定組織に提出され、通常の再算定の後にさらに価格調整に用いられることになる。年間販売額1000億円超の医薬品で薬価を引下げる特例拡大再算定や市場拡大再算定の後に、さらに費用対効果評価で価格調整が行われる可能性もある。価格調整の具体的な手法は、2018年度診療報酬改定に向けて検討が進められる。また、費用対効果について判断する際に用いる増分費用効果比(ICER)の値は試行的導入では明確に定めず、本格的導入に向けて議論を重ねる。
【訂正】下線部に誤りがありました。訂正します(1月21日 15時38分)