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ファイザー 業務改善計画書を厚労省に提出 重篤性や因果関係、添付文書の記載によらず有害事象収集

公開日時 2015/10/05 03:52

ファイザーは10月1日、厚労省に業務改善計画書を厚労省に提出し、受理されたと発表した。計画書は、重篤性や製品との因果関係、添付文書の記載の有無によらず、MRなど全社員が有害事象の収集・報告に関する責務があることを安全管理業務手順書に明記したほか、教育を通じ周知徹底する内容となっている。同社は、抗がん剤など11製品、212例の副作用報告義務の遅延、安全管理情報の収集義務を怠ったとして、9月1日付で医薬品医療機器法(薬機法)にもとづき、厚労省から業務改善命令を受けていた。


◎報告漏れの原因に有害事象の収集範囲の理解にMRと営業所長・支店長らで差


業務改善計画書は、▽有害事象情報の収集範囲と情報収集に関する責務など安全管理業務手順書の改訂、▽MRに対する再教育など是正措置としての教育訓練の実施--が柱となっている。

同社は、事態の原因究明に向け、米国ファイザーと共同で調査を実施。その結果、有害事象の収集範囲についてMRと上司である営業所長、支店長/営業部長の間で理解に差があることがひとつの原因だったと指摘した。具体的には、重篤性、自社製品との因果関係、添付文書の記載の有無によらず、安全性報告が必要であることへの理解が十分ではなかった。さらに、医療関係者からの自発的、積極的な報告以外の情報源から知り得た有害事象報告も安全管理統括部門に報告対象であることが、周知されていなかった。

教育研修プログラムとしては、年1回全社員を対象に実施されていたが、この結果を受け、MRと営業所長、支店長/営業部長(安全管理実施責任者)に対して複数回の臨時の教育訓練を実施した。さらに、年10回実施されている、MRなどを対象とした継続研修で、今年4月以降のすべての回で有害事象報告に焦点を当てた時間を設けた。そのほか、全社員を対象に、9月11日にはウエブ上で、社長や各事業部長のメッセージ、コンプライアンス・セッション、改善命令と蓋然計画の概要説明、安全性情報の教育研修プログラムの要点などについて、特別会議を実施した。6月時点で、研修の効果を検証したところ、有害事象の自発報告が前年同期比で40%増加していたといい、教育が一定の成果をみせたという。


また、安全管理統括部門が定期的に自己点検をしていたにもかかわらず、有害事象報告の遅延が発見できなかったことを踏まえ、自己点検の内容を見直した。自己点検に用いていたチェックリストは、安全管理実施責任者である支店長/営業部長についての確認項目が不十分だったことから、刷新。9月から新たなチェックリストを用いている。なお、安全管理実施責任者については、業務を▽安全性情報の収集・報告を適切に実施するようMRなどを指導する、▽医療関係者への適正使用の提供・伝達をMRらに適切に実施させる、▽市販直後調査をMRらに適切に実施させる、▽必要な教育を受講するとともに、MRにも必要な教育を受講させる—ことと明確にした。また、傘下MRの有害事象報告の実施状況の確認結果を安全管理責任者に報告することも責務とした。


そのほか、症例フォローツールについては、有害事象を記録する可能性があることから、現在使用を一時中止しているが、今後の運用を見据え、運用管理を定めた安全管理業務手順書を新規に作成。すべての症例フォローツールは、安全管理統括部門の事前レビューを必須とし、定期的な品質管理計画を作成、実行するほか、記録は本社で一元管理し、安全管理統括部門が定期的に状況を監視することを明確にした。


今年11月に実施される予定の監査では、新たな安全管理業務手順書の遵守やその他是正措置の評価する方針。同社は、「事態を重く受け止めており、再びこのような事態が起きることがないよう、改善計画に示す対策を講じると同時に、事業活動にかかわるすべての法令の遵守を徹底する」としている。
 

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