PhRMA会員企業 836剤の抗がん剤を開発中 8割がファーストラインの可能性も
公開日時 2015/09/15 03:50
米国研究製薬工業協会(PhRMA)会員企業が開発中の抗がん剤は合計836剤に達することが、同協会がまとめた「開発中の薬剤:2015年報告」(Medicines in Development/2015 Report)で明らかになった。同協会が9月10日発表した。836剤には、米食品医薬品局(FDA)承認申請中の薬剤も含まれている。
がんワクチンを含む836剤の主な内訳を薬効別にみると以下の通りとなっている。
▽肺がん治療薬123剤。肺がんは、米国でのがん死因のトップで、2015年には15万8000人以上が肺がんで死亡すると見込まれている。
▽白血病治療薬106剤。白血病はがんの新規症例の3-4%を占めている。
▽非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫治療薬92剤。新規がん診断の約9%を占める。
▽乳がん治療薬82剤。米国で女性では診断される数が最多のがん。2015年には23万1840症例が新規に診断される見込み。
▽神経膠腫を含む脳腫瘍治療薬58剤。
▽黒色腫を含む皮膚がん治療薬53剤。
PhRMAは、836剤という豊富なR&Dパイプラインは、がんと闘うための画期的医薬品開発ニーズの反映と位置づけているが、2015年のみで米国で160万人以上が新規にがんと診断され、60万人ががんで死亡する大きな課題ととらえている。
PhRMAのJohn J Castellani理事長兼CEOは、「がん研究コミュニティは、がん患者が良好な治療アウトカムを獲得することや『がん患者』から『がん生存者』に移行することを促す、新規かつより有効な治療法を見出すことに大きな進歩を成し遂げた」と述べた。その上で、「しかしながら、戦いの終わりにはほど遠い。この報告書は、がんという恐ろしい病気と闘う患者のアンメット・メディカルニーズを満足させるためにバイオ・医薬品企業の持続的な取り組みを強調している」とコメントした。
報告書では、がんによる死亡率が1990年代初頭から22%減少したこと、開発中の抗がん剤の約80%がファースト・イン・クラスの薬剤の可能性のあること、また、開発中薬剤の73%が個別化医療薬剤の可能性のあることなど抗がん剤開発の進歩についても触れている。