中国市場 大手製薬企業の成長率鈍化 薬価引き下げなどが影響
公開日時 2015/08/11 03:50
大手多国籍製薬企業の中国市場での成長鈍化が、今年第2四半期決算(Q2)後に鮮明になってきた模様だ。米医薬専門誌「Fierce Pharma」が8月6日付で報じた。
一般的に、中国経済の成長鈍化はすでに報じられているところだが、製薬業界においては、その影響および医薬品産業の特殊要因が成長鈍化を招いているようだ。
ノボノルディスクは、中国では2桁成長を記録していたが、このQ2には対前年同期比3%成長に減速した。Q2の説明会で、同社糖尿病領域担当者は、その理由として、政府による薬価引き下げ、糖尿病市場の成長鈍化、現地企業との競争激化などを上げた。
イーライリリー中国法人は、ドル高および販売数量減により、Q2は対前年同期比16%減と激減した。同社のChito Zulueta中国法人社長は、後発医薬品(GE)への切り替えが進んだことや、競争激化により、価格が値崩れした影響が現れたと説明した。
ノバルティスのJoe Jimenez CEOは、中国政府も医療費の伸びが鈍化し、経済成長の停滞がそれに拍車をかけていることを承知しているようだと話し、「我が社もそれを感じ始めている。各事業部門に影響が出ている」と指摘した。しかし、ノバルティスの中国での成長率はまだ同社全体の成長に寄与しているという。同CEOは、「まだ、需要は盛んで変化が生じているとは考えていない。おそらく、いままで我々が(中国で)見てこなかった低い成長率だから(そう感じるの)だろう」と楽観的な見方を示した。中国での賄賂事件が記憶に新しいグラクソ・スミスクライン(GSK)は、中国事業を回復させつつあるが、今年2Qの売上は、対前年比14%の減少だ。GSKは、「将来の事業展開に向けてリセットしているところ」と話している。
◎AZは対前年比19%増と好調
各社が困難に直面しているこの時期にひとり気を吐くのがQ2で2桁成長をなし遂げたアストラゼネカ(AZ)である。Q2は、10%の伸びで、今年上半期は対前年比19%という高成長をマークした。AZのLuke Miels世界製品・ポートフォリオ戦略部門長は、「価格圧力は強くなろうが、我々は市場の成長率を上回ることができる」と今年後半も市場の成長鈍化にも関わらず2桁成長を維持できるとの自信を示している。販売数量のアップで価格圧力をカバーする考えだ。