骨太方針で最終調整 GE80%達成「18〜20年度末までの早い時期」 参照価格制度は明記せず
公開日時 2015/06/21 11:00
政府の経済財政諮問会議は、6月22日に示される「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)で、焦点だった後発医薬品(GE)の数量シェア目標80%以上達成を「18〜20年度末までの間のなるべく早い時期」とし、2017年央に70%以上とする中間目標を新たに設ける方針を固めた。2017年央に進捗評価を行い、その結果を踏まえて80%以上の目標達成時期を具体的に決める。現行のGE数量シェア60%以上達成時期については目標を設定しない。長期収載品を用いる場合に後発品との差額を負担する、いわゆる参照価格制度の導入は明記しなかった。毎年薬価改定については、2018年度までの実績を踏まえて検討する。22日の諮問会議で素案を固め、30日にも閣議決定する。
◎エッセンシャルドラッグ、イノベーションの推進も明記へ
GEの数量シェア80%目標の達成時期をめぐり、諮問会議の民間議員や財務省は17年度末への前倒しを求めていた。これに対し、厚労省は、急速な環境変化による影響を懸念。GEの安定供給や品質管理、産業育成の観点から前倒しについては、一貫して慎重な姿勢を示していた。厚労省側は、GE数量シェア80%達成には、GE使用の推進策だけでなく、医薬品産業全体の底上げが必要と判断。臨床上の必要性が高く将来にわたり継続的に製造販売されることが求められる基礎的な医薬品、いわゆるエッセンシャルドラッグの安定供給や、イノベーションの推進を盛り込んだ提案を行った。
具体的には、①GE価格の適正化(新規収載、既収載のGEの価格算定ルールの見直し)、②長期収載品の保険制度による評価のあり方・保険制度におけるGE使用の原則化、③臨床上の必要性が高く将来にわたり継続的に製造販売されることが求められる基礎的な医薬品の安定供給、④成長戦略に資するイノベーションの推進、真に有効な新薬の適正な評価等を通じた医薬品産業の国際競争力強化に向けた必要な措置—を検討する。
長期収載品やGEの実質的な引き下げを検討する一方で、いわゆるエッセンシャルドラッグについては、薬価上のインセンティブを検討することで、安定供給を目指す。最低薬価制度や不採算品再算定などがすでにあるが、新たな仕組みを構築することになる。現在、製薬業界側で検討が進められているところ。医療現場で汎用され、医療上の必要性が高いとされる日本薬局方収載品目(局方品)などの検討も視野に、収載からの年数を軸に、競合品数や市場の状況などを踏まえて検討が進められている。
また、GEの使用推進にあたっては、医薬品産業全体の底上げが必須であると判断。製薬企業のイノベーションの推進を盛り込んだ。製薬業界側は、国際競争力強化と経済成長への貢献を実現するために、「新薬創出加算の制度化をはじめ、イノベーションの成果を薬価に十分に反映することが重要」(2017年5月29日・行政改革推進会議歳出改革WG重要課題検証サブ・グループ)と主張しており、今後新薬創出加算の制度化に向けた議論が中医協の場で検討されることになる。
◎高額療養費制度、後期高齢者の窓口負担のあり方見直しへ
毎年薬価改定については、2016年度、17年度、18年度の三年連続改定は明記を避け、2018年度までの実績を踏まえて検討するとした。さらに、市場実勢価格を踏まえた適正化を行うことの重要性を指摘。「国民負担の抑制につながるよう、診療報酬本体の影響にも留意しつつ、その頻度をふくめて検討する」とした。
診療報酬本体は、財政健全化の取り組みのためとしての位置付けとの明記は避け、実質上のマイナス改定の明記は避けた。高額療養制度の見直しや後期高齢者の窓口負担のあり方の見直しを検討することも明記した。また、地域包括ケアへと舵を切る中で、かかりつけ医のインセンティブ強化や外来時の定額負担についても検討する。